PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第46回 理学療法士国家試験 午前 第94問

内科学・臨床医学第46回午前

第46回 理学療法士国家試験 午前 第94問(内科学・臨床医学)の正答は 4 です。この問題は心不全でみられにくい所見を選ぶ設問です。

問題
心不全でみられにくい所見はどれか。
  1. 1. 胸水の出現
  2. 2. 左室前壁の不動化
  3. 3. 心胸郭比(CTR):70%
  4. 4. 左室駆出率(LVEF):60%
  5. 5. 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の増加

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 左室駆出率(LVEF):60%

この問題は心不全でみられにくい所見を選ぶ設問です。左室駆出率(LVEF)の正常値は55〜80%程度であり、60%は正常範囲です。収縮機能が保たれていることを示すため、心不全に典型的な所見とはいえません。他の4つはいずれも心不全でよくみられる所見です。


【各選択肢の解説】

1. 胸水の出現
✅ 正しい。心不全でみられる所見です。左心不全では肺うっ血、右心不全では体静脈系のうっ血により、胸水・浮腫・肝腫大が生じます。
2. 左室前壁の不動化
✅ 正しい。心不全でみられる所見です。左前下行枝領域の心筋梗塞により前壁の壁運動が消失(asynergy)し、ポンプ機能が低下して心不全の原因となります。
3. 心胸郭比(CTR):70%
✅ 正しい。心不全でみられる所見です。胸部X線でのCTRの正常値は50%以下であり、70%は著明な心拡大を示します。
4. 左室駆出率(LVEF):60%
❌ 誤り。60%は正常値で収縮機能は保たれています。心不全では通常LVEFの低下(40%未満で収縮不全=HFrEF)が問題となるため、5つの中で最も心不全らしくない所見です。
5. 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の増加
✅ 正しい。心不全でみられる所見です。心室壁への伸展刺激によって心室から分泌されるため、心不全の診断・重症度評価・治療効果判定に用いられます。

【試験対策ポイント】

心不全の数値基準は暗記事項です。

  • LVEF:正常55〜80%。40%未満=収縮不全(HFrEF)。50%以上でも心不全は起こる(HFpEF=拡張不全、高齢者・高血圧・女性に多い)
  • CTR(心胸郭比):正常50%以下
  • BNP:18.4pg/mL以下が正常、100pg/mL以上で心不全を疑い、200pg/mL以上で治療対象
左心不全と右心不全の症状も対比で覚えます。

  • 左心不全=肺うっ血 → 労作時呼吸困難、起坐呼吸、発作性夜間呼吸困難、湿性ラ音、ピンク色泡沫状痰
  • 右心不全=体静脈うっ血 → 頸静脈怒張、下腿浮腫、肝腫大、体重増加、食欲不振
理学療法ではNYHA分類で重症度を把握し、Borgスケール11〜13を目安に運動処方します。中止基準として体重の急増(3日で2kg以上)、安静時心拍120/分以上、収縮期血圧の低下、SpO2 90%未満、新たな不整脈の出現を確認しましょう。

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