第46回 理学療法士国家試験 午後 第7問
整形外科学第46回午後
第46回 理学療法士国家試験 午後 第7問(整形外科学)の正答は 5 です。エックス線写真(正面像・側面像)では上腕骨遠位の骨幹端部に骨折線があり、側面像で遠位骨片が後方へ転位しています。
問題
8歳の男児。公園の滑り台から誤って転落して左手をつき、痛みのために救急外来を受診した。左肘関節中枢部に疼痛、腫脹および変形が認められる。初診時の左肘のエックス線写真(別冊No.1A、B)を別に示す。急性期の合併症で起こりにくいのはどれか。
- 1. 橈骨神経麻痺
- 2. 正中神経麻痺
- 3. 尺骨神経麻痺
- 4. 上腕動脈損傷
- 5. 尺骨動脈損傷 ✓
正答:5番
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解説
■ 正答:5番 — 尺骨動脈損傷
エックス線写真(正面像・側面像)では上腕骨遠位の骨幹端部に骨折線があり、側面像で遠位骨片が後方へ転位しています。手をついて受傷した小児に典型的な伸展型上腕骨顆上骨折です。骨折部のすぐ前方を上腕動脈と正中神経、外側を橈骨神経、内側を尺骨神経が走るためこれらの損傷は起こりえますが、尺骨動脈は肘窩より遠位(前腕)を走行するため、この骨折で直接損傷されることはまれです。
【各選択肢の解説】
1. 橈骨神経麻痺
✅ 起こりうる。骨片が後外側へ転位すると橈骨神経が牽引・圧迫される。下垂手(手関節・手指伸展不能)を生じる。
✅ 起こりうる。骨片が後外側へ転位すると橈骨神経が牽引・圧迫される。下垂手(手関節・手指伸展不能)を生じる。
2. 正中神経麻痺
✅ 起こりうる。伸展型で最も多い神経合併症で、なかでも前骨間神経麻痺の頻度が高い。母指IP関節と示指DIP関節が屈曲できない(涙のしずくサイン)。
✅ 起こりうる。伸展型で最も多い神経合併症で、なかでも前骨間神経麻痺の頻度が高い。母指IP関節と示指DIP関節が屈曲できない(涙のしずくサイン)。
3. 尺骨神経麻痺
✅ 起こりうる。屈曲型骨折や内側からの経皮ピンニング操作で損傷しやすい。鷲手・骨間筋の萎縮を生じる。
✅ 起こりうる。屈曲型骨折や内側からの経皮ピンニング操作で損傷しやすい。鷲手・骨間筋の萎縮を生じる。
4. 上腕動脈損傷
✅ 起こりうる。後方転位した近位骨片の鋭縁が前方の上腕動脈を圧迫・損傷し、Volkmann拘縮(前腕の阻血性拘縮)を招く最重要合併症。
✅ 起こりうる。後方転位した近位骨片の鋭縁が前方の上腕動脈を圧迫・損傷し、Volkmann拘縮(前腕の阻血性拘縮)を招く最重要合併症。
5. 尺骨動脈損傷
❌ 起こりにくい。尺骨動脈は肘窩で上腕動脈から分岐した後に前腕の尺側を下行する。上腕骨顆上部の骨折線とは位置関係が離れており、直接損傷されることはまれ。
❌ 起こりにくい。尺骨動脈は肘窩で上腕動脈から分岐した後に前腕の尺側を下行する。上腕骨顆上部の骨折線とは位置関係が離れており、直接損傷されることはまれ。
【試験対策ポイント】
上腕骨顆上骨折は小児の肘部骨折の約6割を占め、その95%以上が伸展型(転倒して手をつく受傷)。急性期に必ず確認するのは阻血の5P——Pain(疼痛)、Pallor(蒼白)、Pulselessness(脈拍消失)、Paresthesia(感覚異常)、Paralysis(運動麻痺)。とくに前腕の激しい痛みと手指の他動伸展時痛はコンパートメント症候群のサインで、緊急に医師へ報告する。
晩期合併症は内反肘(変形治癒)で、遅発性尺骨神経麻痺の原因となる。神経麻痺の多くは牽引性で数か月以内に自然回復するため、回復までは装具と自動運動で拘縮を予防する。
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