PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第46回 理学療法士国家試験 午後 第8問

整形外科疾患理学療法第46回午後

第46回 理学療法士国家試験 午後 第8問(整形外科疾患理学療法)の正答は 4 です。その後のエックス線写真では整復位が保たれ、骨折部に仮骨が形成されて骨癒合が進行しています。

問題
8歳の男児。公園の滑り台から誤って転落して左手をつき、痛みのために救急外来を受診した。左肘関節中枢部に疼痛、腫脹および変形が認められる。初診時の左肘のエックス線写真(別冊No.1A、B)を別に示す。徒手整復と外固定とによる保存治療後4週のエックス線写真(別冊No.1C、D)を別に示す。肘関節の自動可動域は伸展−20°、屈曲80°であった。この時点の理学療法で誤っているのはどれか。
第46回午後第8問 図
  1. 1. 肩関節の振子運動
  2. 2. 肘関節の温熱療法
  3. 3. 肘関節の自動屈曲伸展運動
  4. 4. 肘関節の他動屈曲伸展運動
  5. 5. 握力の強化訓練

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 肘関節の他動屈曲伸展運動

その後のエックス線写真では整復位が保たれ、骨折部に仮骨が形成されて骨癒合が進行しています。この時期は自動運動で可動域を広げていく段階ですが、小児の肘関節に他動的な強制運動を加えると骨化性筋炎(異所性骨化)や関節周囲の出血・炎症を招き、かえって拘縮を悪化させます。伸展−20°・屈曲80°という制限は自動運動の継続で改善が期待できます。


【各選択肢の解説】

1. 肩関節の振子運動
✅ 正しい。外固定中に生じやすい肩関節の拘縮を予防できる。骨折部に負荷をかけずに実施できる。
2. 肘関節の温熱療法
✅ 正しい。軟部組織の伸張性を高め疼痛を和らげる。自動運動を行う前の準備として有用。
3. 肘関節の自動屈曲伸展運動
✅ 正しい。小児の肘外傷後の可動域改善は自動運動が原則。痛みの範囲内で反復させる。
4. 肘関節の他動屈曲伸展運動
❌ 誤り。小児の肘、とくに顆上骨折後の他動的伸張は骨化性筋炎を誘発するため行わない。
5. 握力の強化訓練
✅ 正しい。前腕・手内在筋の廃用を防ぎ、循環を促して腫脹を軽減する。骨折部に負担をかけない。

【試験対策ポイント】

小児の肘関節外傷後は他動運動を行わない——国試の超頻出ポイント。理由は①骨化性筋炎のリスクが高い ②小児は自動運動だけで可動域が回復しやすい ③疼痛による防御性収縮で無理な伸張はかえって逆効果、の3つ。成人の肘(上腕骨遠位端骨折・肘関節脱臼後)でも同じく強制的な他動伸張は避ける。

参考として、Morreyの示した肘のADL上必要な機能的可動域は屈曲30〜130°、前腕回内外は各50°。本症例の伸展−20°・屈曲80°は屈曲側が不足しており、食事や整容動作に支障が出るため自動運動を継続する。

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