PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第46回 理学療法士国家試験 午後 第11問

神経疾患理学療法第46回午後

第46回 理学療法士国家試験 午後 第11問(神経疾患理学療法)の正答は 2 です。図では患者が両上肢で理学療法士の体を押しながら、非麻痺側の左足を前方へ大きく一歩踏み出しています。

問題
53歳の女性。脳出血による右片麻痺で、発症後6週経過。Brunnstrom法ステージは上肢、手指、下肢ともにⅣ。両足をそろえた位置から理学療法士を両上肢で押しながら図のように左足を一歩前に出す運動を行っている。この目的として誤っているのはどれか。
第46回午後第11問 図
  1. 1. 歩幅の拡大
  2. 2. 歩隔の拡大
  3. 3. 右側の殿筋強化
  4. 4. 右側の下腿三頭筋の強化
  5. 5. 右側上肢肩甲帯の安定化

正答:2番

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解説
■ 正答:2番 — 歩隔の拡大

図では患者が両上肢で理学療法士の体を押しながら、非麻痺側の左足を前方へ大きく一歩踏み出しています。麻痺側の右下肢は後方に残って体重を支え、股関節伸展・足関節背屈位になります。この課題は前後方向のステップ動作なので、左右方向の幅である歩隔を広げる目的にはなりません。そもそも歩隔の拡大はバランス低下の代償であり、改善すべき所見であって訓練目標にはなりません。


【各選択肢の解説】

1. 歩幅の拡大
✅ 正しい。前方への踏み出し距離を大きくする練習であり、歩幅(step length)の拡大につながる。片麻痺歩行では麻痺側立脚が短く歩幅が小さくなりやすいため重要な目的となる。
2. 歩隔の拡大
❌ 誤り。歩隔(step width)は左右の足の間隔で、前後へのステップ課題では変化しない。正常歩行の歩隔は約7〜9cmで、拡大は不安定さの表れであり訓練目標にならない。
3. 右側の殿筋強化
✅ 正しい。後方に残した右下肢は股関節伸展位で体重を支えるため、大殿筋・中殿筋が働く。
4. 右側の下腿三頭筋の強化
✅ 正しい。右足底を接地したまま体幹が前方へ移動すると足関節は背屈し、下腿三頭筋が遠心性から求心性へと活動する。蹴り出しの練習になる。
5. 右側上肢肩甲帯の安定化
✅ 正しい。両上肢で相手を押す閉鎖運動連鎖の課題であり、麻痺側肩甲帯の支持性・安定性を高める。

【試験対策ポイント】

歩行の距離因子は定義と正常値をセットで覚える。

用語定義正常値の目安
歩幅(step length)一側の踵接地から反対側の踵接地までの距離約70cm
重複歩距離(stride length)同側の踵接地から次の同側踵接地までの距離約140cm
歩隔(step width)左右の踵中央の間の横幅約7〜9cm
歩行率(cadence)1分間の歩数約110〜120歩/分
足角(toe out angle)進行方向と足長軸のなす角約7〜8°

Brunnstrom stageⅣは「痙縮が減少し分離運動が一部可能になった」時期で、立位での荷重・ステップ練習を導入する段階。歩隔が広い、体幹が動揺するといった所見は改善対象であり、訓練の「目的」として並んでいたら誤りを疑う。

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ST-Toolbox編集部(リハビリテーション領域の国家資格を持つ現役専門職が運営)が、理学療法士領域の有資格者の知見と標準的な教科書・ガイドラインに基づいて作成・点検しています。解説の下書きにはAIを活用し、人が確認・点検したうえで公開しています。

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