PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午前 第8問

神経内科学第47回午前

第47回 理学療法士国家試験 午前 第8問(神経内科学)の正答は 1 です。頭部MRIでは、左半球の頭頂葉(側脳室後角の外側)に広範な高信号域を認めます。

問題
60歳の男性。右利き。脳梗塞を発症し、回復期リハビリテーション病棟に入院中である。食事時に右手でスプーンの柄を握りこんでしまい、うまくスプーン操作ができず、介助が必要になることが多いが、少しずつ食事動作が円滑にできる場面が増えてきている。頭部MRI(別冊No. 4)を別に示す。この食事動作の病態として考えられるのはどれか。
第47回午前第8問 図
  1. 1. 観念失行
  2. 2. 視覚性失認
  3. 3. 運動維持困難
  4. 4. 右上肢運動麻痺
  5. 5. 右上肢深部覚障害

正答:1番

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解説
■ 正答:1番 — 観念失行

頭部MRIでは、左半球の頭頂葉(側脳室後角の外側)に広範な高信号域を認めます。右利きの症例で優位半球である左頭頂葉(縁上回・角回)が障害されると、道具の使い方そのものが分からなくなる観念失行が生じます。スプーンの柄を握り込んで操作できない食事場面はこれに合致します。


【各選択肢の解説】

1. 観念失行
✅ 正しい。左頭頂葉(優位半球)病変で生じ、対象物は認識できるのに道具を正しく使えない。スプーンを握り込んで口へ運べない、といった日常物品の使用障害が典型である。
2. 視覚性失認
❌ 誤り。後頭葉〜後頭側頭葉の障害で、見ても何であるか分からないが触れば分かる状態。本例は物品を見て食事動作に取りかかれており、また病巣も一次視覚野中心ではない。
3. 運動維持困難
❌ 誤り。主に右(非優位)半球病変でみられ、閉眼保持や舌の突出などの姿勢・運動を持続できない症状である。本例の病巣は左半球で、症状も道具操作の障害である。
4. 右上肢運動麻痺
❌ 誤り。病巣は中心前回や内包後脚ではなく後方の頭頂葉であり、麻痺が主体とは考えにくい。麻痺であれば柄を握り込むのではなく、把持そのものが困難になる。
5. 右上肢深部覚障害
❌ 誤り。深部覚障害であれば視覚での代償により動作は改善しやすい。病巣も視床や中心後回の一次感覚野に限局したものではない。

【試験対策ポイント】

失行の分類は国試頻出です。

  • 観念失行:道具の使用障害・系列動作の障害(左頭頂葉)。「歯ブラシで髪をとかす」等
  • 観念運動失行:命令されると身振り(敬礼、さようなら)ができないが、自動的にはできる(左頭頂〜縁上回)
  • 肢節運動失行:拙劣症。細かい動作がぎこちない(中心前回・後回)
  • 構成失行:図形の模写・積み木ができない(頭頂葉、右でも左でも)
  • 着衣失行:右頭頂葉
優位半球(多くは左)の頭頂葉病変では、失行・失語・Gerstmann症候群(失書・失算・手指失認・左右失認)をセットで押さえましょう。

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