PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午前 第19問

地域理学療法第47回午前

第47回 理学療法士国家試験 午前 第19問(地域理学療法)の正答は 3 です。発症から5年が経過し、上肢・手指・下肢ともBrunnstrom法ステージⅢ、全失語を認めます。

問題
80歳の女性。5年前に発症した脳梗塞による右片麻痺がある。Brunnstrom法ステージは上肢、手指および下肢でⅢである。全失語を認める。FIMでは、ベッドへの移乗項目は3点で、車椅子での移動項目は3点である。訪問リハビリテーションを導入する際、目標として適切なのはどれか。
  1. 1. 屋外杖歩行の自立
  2. 2. 屋内杖なし歩行の獲得
  3. 3. 移乗動作の安定性の改善
  4. 4. 右手指機能の改善
  5. 5. 失語症の改善

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 移乗動作の安定性の改善

発症から5年が経過し、上肢・手指・下肢ともBrunnstrom法ステージⅢ、全失語を認めます。機能回復を狙う時期ではなく、生活期の訪問リハビリテーションでは現在のADL(移乗FIM3点=中等度介助、移動FIM3点)の介助量軽減と安全性の確保が現実的な目標になります。


【各選択肢の解説】

1. 屋外杖歩行の自立
❌ 誤り。移動がFIM3点(中等度介助)で下肢ステージⅢの状態から、屋外歩行の自立を短期の目標に据えるのは現実的でない。
2. 屋内杖なし歩行の獲得
❌ 誤り。杖歩行より難易度が高く、80歳・発症5年・下肢ステージⅢでは転倒リスクが高い。
3. 移乗動作の安定性の改善
✅ 正しい。FIM3点の移乗は介助量が大きく、介助者の負担も転倒リスクも高い。移乗が安定すればトイレ・入浴などの生活動作全体が改善し、介護負担の軽減に直結する。生活期の訪問リハの目標として最も適切である。
4. 右手指機能の改善
❌ 誤り。発症5年で手指ステージⅢのまま経過しており、著明な機能改善は見込みにくい。麻痺手の管理や非麻痺側での代償手段の指導のほうが優先される。
5. 失語症の改善
❌ 誤り。全失語で5年が経過しており、言語機能そのものの改善は限定的である。言語聴覚士による関与やコミュニケーション手段の工夫は行うが、訪問理学療法の目標としては適切でない。

【試験対策ポイント】

目標設定の問題は「時期」と「現在の能力レベル」の2点で切ります。

  • 回復期=機能回復と能力向上/生活期(維持期)=能力の維持・介助量軽減・活動と参加の拡大
  • FIMの得点と介助量:7自立/6修正自立/5監視・準備/4最小介助(75%以上自分で)/3中等度介助(50%以上自分で)/2最大介助/1全介助
  • 発症から年単位が経過し、Brunnstrom stageが停滞している麻痺の「機能改善」を目標に掲げる選択肢は誤りになりやすい
「1段階上のADL」を狙う選択肢が正解になりやすい、と覚えておくと解きやすくなります。

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