PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午前 第10問

神経疾患理学療法第48回午前

第48回 理学療法士国家試験 午前 第10問(神経疾患理学療法)の正答は 1 です。発症翌日でJCSⅡ-10(普通の呼びかけで開眼する)、血圧150/100 mmHgとまだ不安定な時期です。

問題
65歳の男性。右利き。突然の意識消失のため救急搬入された。診察時のJCSⅢ-200、血圧210/120 mmHg、脈拍90/分であった。搬送時の頭部CT(別冊No.2)を別に示す。入院翌日に理学療法が依頼された。JCSⅡ-10、血圧150/100 mmHg、脈拍90/分で、バイタルチェックを行いながら、理学療法を開始することになった。この日に行う訓練で適切なのはどれか。
第48回午前第10問 図
  1. 1. ギャッジアップ訓練
  2. 2. 車椅子座位訓練
  3. 3. 健側下肢の筋力訓練
  4. 4. 寝返り練習
  5. 5. 下肢装具を装着しての立位訓練

正答:1番

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解説
■ 正答:1番 — ギャッジアップ訓練

発症翌日でJCSⅡ-10(普通の呼びかけで開眼する)、血圧150/100 mmHgとまだ不安定な時期です。この段階の理学療法は、再出血と血圧変動を避けながら段階的に離床を進めるのが原則で、まずベッド上でギャッジアップ(ヘッドアップ)を行い、角度を上げながら血圧・意識レベルの反応を確認していきます。


【各選択肢の解説】

1. ギャッジアップ訓練
✅ 正しい。ベッド上で頭側挙上角度を30°→45°→60°と段階的に上げ、起立性の血圧低下や症状の増悪がないかを確認しながら進められる。急性期離床の第一段階として最も適切。
2. 車椅子座位訓練
❌ 誤り。ギャッジアップでの耐性が確認できていない発症翌日に、いきなり端座位を経て車椅子へ移乗するのは血圧変動が大きく危険。
3. 健側下肢の筋力訓練
❌ 誤り。抵抗運動は努責(Valsalva)を伴い血圧を急上昇させ、再出血の危険がある。また健側のみの筋力増強は急性期の優先事項ではない。
4. 寝返り練習
❌ 誤り。JCSⅡ-10では指示の理解が不十分で、能動的な動作練習は成立しにくい。この時期は良肢位保持と体位変換(他動的)が中心となる。
5. 下肢装具を装着しての立位訓練
❌ 誤り。意識障害が残り血圧も高い段階での立位は最も負荷が大きく、時期尚早である。

【試験対策ポイント】

  • 脳出血急性期の離床の順序:良肢位・体位変換 → ギャッジアップ(30°から) → 端座位 → 車椅子座位 → 立位 → 歩行。一段階ごとに血圧・脈拍・意識レベル・神経症状を確認します。
  • 中止基準の目安:収縮期血圧が安静時より30 mmHg以上変動、収縮期180 mmHg以上、意識レベル低下、頭痛・嘔吐、脈拍120/分以上など。
  • JCSは「Ⅰ桁=覚醒している/Ⅱ桁=刺激で覚醒する/Ⅲ桁=刺激しても覚醒しない」。Ⅲ-200からⅡ-10への改善は、離床を開始してよい状態に近づいたことを示します。
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