PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午前 第30問

運動療法第47回午前

第47回 理学療法士国家試験 午前 第30問(運動療法)の正答は 4 です。徒手抵抗は単に筋力を高めるためだけでなく、運動の方向・速度・タイミングを誘導するための情報として用います。

問題
理学療法士の徒手抵抗によって対象者の動作を誘導する方法の説明で適切なのはどれか。
  1. 1. 動作の開始時には抵抗を与えない。
  2. 2. 動作中に与える抵抗は一定の強度に保つ。
  3. 3. 抵抗を与える手掌のMP関節は伸展位とする。
  4. 4. 抵抗によって運動速度を調節することができる。
  5. 5. 接触面を広くすることで運動方向を正確に規定できる。

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 抵抗によって運動速度を調節することができる。

徒手抵抗は単に筋力を高めるためだけでなく、運動の方向・速度・タイミングを誘導するための情報として用います。抵抗量を強めれば運動はゆっくりとなり、弱めれば速くなるため、療法士は抵抗の強さで対象者の運動速度をコントロールできます。


【各選択肢の解説】

1. 動作の開始時には抵抗を与えない。
❌ 誤り。開始時から適切な抵抗を与えることで、対象者は動くべき方向を体性感覚として認識でき、筋収縮も促通されます。PNFでも運動の始まりから終わりまで一貫して抵抗を加えるのが原則です。
2. 動作中に与える抵抗は一定の強度に保つ。
❌ 誤り。筋の発揮張力は関節角度(筋の長さ)によって変化するため、可動域を通じて一定の抵抗では強すぎたり弱すぎたりします。対象者の反応に応じて抵抗量を変化させる(最大抵抗の原則)のが適切です。
3. 抵抗を与える手掌のMP関節は伸展位とする。
❌ 誤り。適切な用手接触では、MP関節を屈曲・IP関節を伸展させた「虫様筋握り(lumbrical grip)」を用います。この握りは手指で強くつかまずに面で圧を伝えられ、疼痛や不要な把持刺激を避けられます。
4. 抵抗によって運動速度を調節することができる。
✅ 正しい。抵抗量の増減で運動速度を変え、速すぎる代償運動を抑えたり、ゆっくりとした正確な運動を引き出したりできます。
5. 接触面を広くすることで運動方向を正確に規定できる。
❌ 誤り。接触面を広げると刺激が分散し、どの方向へ動けばよいかの情報がかえって曖昧になります。運動方向を正確に伝えるには、運動が向かう側の面に接触部位を限定して圧を加えます。

【試験対策ポイント】

PNFの基本原理(促通要素)は用語で問われます。

  • 用手接触:運動方向の側に手を置く。虫様筋握りで圧刺激を与える
  • 最大抵抗:滑らかな運動が続けられる範囲で最大の抵抗を与える(可動域を通じて量は変化させる)
  • 伸張刺激(ストレッチ):筋を軽く伸張してから運動を開始させ、筋紡錘を介して収縮を促通
  • 牽引と圧縮:牽引は運動の促通、圧縮は支持性・安定性の促通
  • 口頭指示:短く明確に。「引いて」「押して」などタイミングよく
抵抗は「筋力増強の手段」であると同時に「運動を誘導する感覚入力」でもある、という視点が本問の要点です。

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