PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午前 第32問

物理療法第47回午前

第47回 理学療法士国家試験 午前 第32問(物理療法)の正答は 2 です。寒冷刺激は末梢神経の伝導速度を低下させますが、なかでも筋紡錘の感度を調節するγ運動線維の活動を抑制する効果が痙縮軽減の主要な機序です。

問題
寒冷療法が痙縮を低下させる機序で正しいのはどれか。
  1. 1. 筋紡錘からの求心性放電の増大
  2. 2. γ神経線維の伝導速度の低下
  3. 3. δ神経線維の伝導速度の低下
  4. 4. 毛細血管透過性の増大
  5. 5. 筋組織の代謝の増大

正答:2番

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解説
■ 正答:2番 — γ神経線維の伝導速度の低下

寒冷刺激は末梢神経の伝導速度を低下させますが、なかでも筋紡錘の感度を調節するγ運動線維の活動を抑制する効果が痙縮軽減の主要な機序です。γ線維の活動低下により筋紡錘の感受性が下がり、Ia求心性入力が減少して伸張反射が抑制されるため、痙縮が一時的に軽減します。


【各選択肢の解説】

1. 筋紡錘からの求心性放電の増大
❌ 誤り。寒冷では筋紡錘の感受性が低下し、Ia求心性放電はむしろ減少します。求心性放電が増大すれば伸張反射が亢進し、痙縮は強まってしまいます。
2. γ神経線維の伝導速度の低下
✅ 正しい。γ運動ニューロンの活動低下→筋紡錘の感度低下→Ia入力減少→α運動ニューロンの興奮性低下、という経路で伸張反射が抑制され痙縮が軽減します。
3. δ神経線維の伝導速度の低下
❌ 誤り。Aδ線維は速い痛みを伝える感覚線維で、その伝導低下は疼痛緩和(鎮痛)には寄与しますが、痙縮そのものを低下させる機序ではありません。
4. 毛細血管透過性の増大
❌ 誤り。寒冷は血管を収縮させて毛細血管透過性を低下させ、腫脹・浮腫を抑えます。透過性の増大は温熱や炎症で起こる反応です。
5. 筋組織の代謝の増大
❌ 誤り。寒冷は組織温を下げて代謝を低下させ、二次的低酸素性障害を防ぎます。代謝が増大するのは温熱療法の作用です。

【試験対策ポイント】

寒冷療法(クライオセラピー)の生理作用は「すべて下がる」で覚えると整理しやすいです。

  • 血管収縮→血流減少・出血抑制・浮腫軽減
  • 組織代謝低下→二次的低酸素性障害の予防
  • 神経伝導速度低下→鎮痛(Aδ・C線維)・γ線維抑制による痙縮軽減
  • 筋紡錘感受性低下→伸張反射抑制
  • 毛細血管透過性低下
適応は急性外傷(RICE:安静・冷却・圧迫・挙上)・炎症・痙縮・疼痛。禁忌はレイノー現象、寒冷過敏症(寒冷蕁麻疹)、閉塞性動脈硬化症などの循環障害、知覚脱失部位です。なお寒冷による痙縮抑制効果は20〜30分程度持続するため、その間に運動療法を行うのが実践的です。

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