PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午前 第48問

内部障害理学療法第47回午前

第47回 理学療法士国家試験 午前 第48問(内部障害理学療法)の正答は 1 です。等尺性(アイソメトリック)運動は筋内圧の上昇と息こらえ(Valsalva効果)により血圧を急上昇させます。

問題
慢性腎不全患者に対する運動療法として正しいのはどれか。
  1. 1. 高血圧症合併例では等尺性運動を避ける。
  2. 2. 運動負荷の指標に自覚的強度は適切でない。
  3. 3. 腹膜透析(CAPD)導入後は歩行訓練を避ける。
  4. 4. むずむず足症候群では下肢運動は禁忌となる。
  5. 5. 下肢の浮腫には起立台での起立訓練が有効である。

正答:1番

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解説
■ 正答:1番 — 高血圧症合併例では等尺性運動を避ける。

等尺性(アイソメトリック)運動は筋内圧の上昇と息こらえ(Valsalva効果)により血圧を急上昇させます。慢性腎不全患者は高血圧を合併していることが多く、その場合は等尺性運動や高強度のレジスタンス運動を避け、動的な有酸素運動を中心に組み立てます。


【各選択肢の解説】

1. 高血圧症合併例では等尺性運動を避ける。
✅ 正しい。等尺性収縮は末梢血管抵抗を高め、収縮期・拡張期とも血圧を大きく上昇させるため、高血圧合併例では避けるか低強度にとどめます。実施する場合も息を止めさせないよう指導します。
2. 運動負荷の指標に自覚的強度は適切でない。
❌ 誤り。透析患者では自律神経障害や降圧薬(β遮断薬)の影響で心拍数が運動強度を反映しにくいため、Borgスケール11〜13(楽である〜ややきつい)を指標とする自覚的運動強度がむしろ有用です。
3. 腹膜透析(CAPD)導入後は歩行訓練を避ける。
❌ 誤り。CAPD導入後も歩行や有酸素運動は推奨されます。注意するのは腹圧が大きく上がる運動(重量物の挙上、強い腹筋運動)やカテーテル出口部の感染・接触であり、歩行は制限されません。
4. むずむず足症候群では下肢運動は禁忌となる。
❌ 誤り。むずむず脚症候群(RLS)は透析患者に多い合併症ですが、下肢を動かすことでむしろ症状が軽減するのが特徴です。運動療法は症状緩和に有用で禁忌ではありません。
5. 下肢の浮腫には起立台での起立訓練が有効である。
❌ 誤り。起立位を保持すると下肢の静水圧が高まり静脈還流が滞るため、浮腫はむしろ増悪します。浮腫には下肢挙上・弾性ストッキング・足関節の自動運動(筋ポンプ)が有効です。

【試験対策ポイント】

腎不全・透析患者の運動療法のポイントです。

  • 目的はサルコペニア・フレイル予防、運動耐容能とQOLの改善。かつての「安静第一」から運動推奨へ方針転換(腎臓リハビリテーション)
  • 強度はBorg 11〜13、頻度は週3〜5回。血液透析中の運動(透析中の下肢エルゴメーター)も広く行われる
  • 透析直後・除水量が多い時は起立性低血圧に注意。透析日は前半で実施
  • シャント肢では血圧測定・重量物の運搬・圧迫を避ける
  • 中止基準:著明な血圧変動、不整脈、胸痛、高度の貧血(Hb低値)、重度の電解質異常(高カリウム血症)、体重増加が著しい溢水状態
「等尺性運動=血圧上昇」は心疾患・高血圧・脳血管障害でも共通する重要事項です。

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