PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午前 第89問

神経内科学第47回午前

第47回 理学療法士国家試験 午前 第89問(神経内科学)の正答は 5 です。有痛性強直性痙攣(painful tonic spasm)は、四肢に数十秒間の有痛性の強直がくり返し出現する発作で、多発性硬化症(MS)や視神経脊髄炎に特徴的な症状として知られています。

問題
脊髄小脳変性症にみられにくく、多発性硬化症に特徴的なのはどれか。
  1. 1. 痙縮
  2. 2. 運動失調
  3. 3. 嚥下障害
  4. 4. 構音障害
  5. 5. 有痛性痙攣

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — 有痛性痙攣

有痛性強直性痙攣(painful tonic spasm)は、四肢に数十秒間の有痛性の強直がくり返し出現する発作で、多発性硬化症(MS)や視神経脊髄炎に特徴的な症状として知られています。脊髄小脳変性症では通常みられません。他の選択肢は小脳・脳幹症状として脊髄小脳変性症でも普通にみられるため鑑別になりません。


【各選択肢の解説】

1. 痙縮
❌ 誤り。MSでも脊髄病変により痙縮は生じますが、脊髄小脳変性症のうち痙性対麻痺型や、脊髄病変を伴う病型でも痙縮はみられるため、MSに特徴的とはいえません。
2. 運動失調
❌ 誤り。運動失調はむしろ脊髄小脳変性症の主症状です。MSでも小脳・脊髄後索病変により失調は生じるため、両者を区別する所見にはなりません。
3. 嚥下障害
❌ 誤り。脊髄小脳変性症では球症状として、MSでは脳幹病変により、どちらでも生じうる症状です。
4. 構音障害
❌ 誤り。脊髄小脳変性症では断綴性(爆発性)言語が典型的にみられます。MSでもCharcotの3徴の1つとして走査性言語が挙げられ、両者に共通します。
5. 有痛性痙攣
✅ 正しい。有痛性強直性痙攣はMSに特徴的な発作性症状です。脱髄部位での軸索間の異常な興奮伝達(ephaptic transmission)が原因と考えられており、脊髄小脳変性症ではみられません。

【試験対策ポイント】

多発性硬化症の“らしさ”を示すキーワードを押さえておきましょう。

  • 時間的・空間的多発(再発と寛解をくり返し、中枢神経のあちこちに病巣)
  • Charcotの3徴:眼振・企図振戦・走査(断綴)性言語
  • 視神経炎(球後視神経炎による視力低下)・MLF症候群(内側縦束症候群による核間性眼筋麻痺)
  • Lhermitte徴候(頸部前屈で背部〜下肢に電撃痛)
  • Uhthoff現象(入浴・発熱・運動などによる体温上昇で症状が一時的に増悪)
  • 有痛性強直性痙攣
  • 若年女性に多く、高緯度地域で発症率が高い
理学療法上の最重要事項はUhthoff現象への配慮で、高温多湿の環境や過度な運動負荷を避け、室温管理・クーリング・短時間の分割運動で疲労を蓄積させないようにします。再発期は安静とステロイド治療が優先され、積極的な運動療法は寛解期に行います。対する脊髄小脳変性症では、失調に対する重錘負荷・弾性緊縛帯・Frenkel体操・固有感覚入力の活用が中心になります。

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