PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午前 第94問

内科学・臨床医学第47回午前

第47回 理学療法士国家試験 午前 第94問(内科学・臨床医学)の正答は 3 です。肺気腫では肺胞壁が破壊されて肺の弾性収縮力(縮もうとする力)が失われるため、呼気時に肺が十分に縮まず空気が肺内に残ります。

問題
肺気腫でみられるのはどれか。
  1. 1. 横隔膜高位
  2. 2. 1秒率の増加
  3. 3. 機能的残気量の増加
  4. 4. 解剖学的死腔の減少
  5. 5. 心胸郭比(CTR)の増加

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 機能的残気量の増加

肺気腫では肺胞壁が破壊されて肺の弾性収縮力(縮もうとする力)が失われるため、呼気時に肺が十分に縮まず空気が肺内に残ります。このエアートラッピング(空気とらえこみ)によって残気量(RV)・機能的残気量(FRC)・全肺気量(TLC)がいずれも増加し、いわゆる肺の過膨張をきたします。


【各選択肢の解説】

1. 横隔膜高位
❌ 誤り。肺の過膨張により横隔膜は押し下げられ、平低化・低位となります。胸部X線では横隔膜の平坦化、肋間腔の開大、透過性亢進、樽状胸郭が特徴です。
2. 1秒率の増加
❌ 誤り。末梢気道の虚脱により呼出が障害されるため、1秒率(FEV₁/FVC)は70%未満に低下します。閉塞性換気障害の定義そのものです。
3. 機能的残気量の増加
✅ 正しい。安静呼気位で肺内に残る空気量(FRC=予備呼気量+残気量)が増加します。過膨張により横隔膜が平低化して収縮効率が落ち、呼吸仕事量が増大します。
4. 解剖学的死腔の減少
❌ 誤り。肺気腫では気腔の破壊・拡大により、ガス交換に関与しない領域(肺胞死腔)が増え、生理学的死腔は増加します。死腔が減ることはありません。
5. 心胸郭比(CTR)の増加
❌ 誤り。肺の過膨張により心臓は縦に細長く見え、CTRはむしろ小さくなります(滴状心)。CTRの増加(50%超)は心不全・心拡大の所見です。

【試験対策ポイント】

換気障害は「1秒率と%肺活量」の2軸で必ず分類できます。

1秒率%肺活量代表疾患
閉塞性70%未満80%以上肺気腫・慢性気管支炎(COPD)・気管支喘息
拘束性70%以上80%未満間質性肺炎・肺線維症・胸郭変形・神経筋疾患
混合性70%未満80%未満進行したCOPD・じん肺

肺気腫の身体所見は口すぼめ呼吸・呼気延長・樽状胸郭・呼吸音減弱・打診での鼓音・呼吸補助筋の発達・体重減少(るいそう)。理学療法では口すぼめ呼吸で気道内圧を保って虚脱を防ぎ、上肢挙上を伴う動作で息切れが強くなる点に配慮したADL指導(動作と呼吸の同調)を行います。運動時のSpO2は90%以上を維持し、90%未満に低下したら中止または酸素流量の調整を検討します。「肺は膨らむのにCTRは下がる(滴状心)」という一見逆の関係が引っかけとして頻出です。

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