PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午後 第28問

運動学第47回午後

第47回 理学療法士国家試験 午後 第28問(運動学)の正答は 2 です。着座動作では、殿部が座面に向かって下降する間、足部の上で下腿を前傾させる(足関節を背屈させる)ことで体重心を支持基底面内に保ち、股・膝関節伸展筋の遠心性収縮でゆっくり下降させる。

問題
椅子に座ろうとして殿部をつく際に、強い衝撃を伴った。こうした動作となる本質的な原因として正しいのはどれか。ただし、関節可動域自体に制限はないものとする。
  1. 1. 体幹の前傾が十分でない。
  2. 2. 足関節の背屈が十分でない。
  3. 3. 運動初期の体重心の加速が十分でない。
  4. 4. 大腿四頭筋の求心性筋力の発揮が十分でない。
  5. 5. 動作中の足圧中心の制御が十分でない。

正答:2番

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解説
■ 正答:2番 — 足関節の背屈が十分でない。

着座動作では、殿部が座面に向かって下降する間、足部の上で下腿を前傾させる(足関節を背屈させる)ことで体重心を支持基底面内に保ち、股・膝関節伸展筋の遠心性収縮でゆっくり下降させる。関節可動域に制限がないのに背屈を使えず下腿が前傾しないと、体重心が後方へ外れて制御が効かなくなり、殿部が座面へ落下して強い衝撃を生じる。


【各選択肢の解説】

1. 体幹の前傾が十分でない。
❌ 誤り。体幹前傾は体重心を前方に保つ助けにはなるが、足部上で下腿が前傾できていれば体幹前傾が小さくても制御は可能である。衝撃の直接の規定因子ではない。
2. 足関節の背屈が十分でない。
✅ 正しい。下腿が前傾しなければ膝が屈曲しても体重心が後方へ取り残され、支持基底面から外れた時点で下降を制御できず、殿部が座面に落ちて衝撃を生じる。
3. 運動初期の体重心の加速が十分でない。
❌ 誤り。着座は体重心を後下方へ移動させる動作で、初期の加速が不足すればむしろ動作が緩慢になる。強い衝撃を伴う理由にはならない。
4. 大腿四頭筋の求心性筋力の発揮が十分でない。
❌ 誤り。着座で下降を制御するのは大腿四頭筋・大殿筋の遠心性収縮である。求心性収縮は立ち上がりに必要な要素であり、この現象の説明にならない。
5. 動作中の足圧中心の制御が十分でない。
❌ 誤り。足圧中心が後方へ偏るのは結果として観察される現象であり、それを規定しているのが下腿前傾(足関節背屈)である。本質的な原因は2である。

【試験対策ポイント】

立ち上がり・着座は「下腿の前傾(足関節背屈)」と「筋の収縮様式」の2点で整理する。立ち上がりは体幹前傾で体重心を足部上へ移してから伸展筋が求心性に働き、着座は同じ筋が遠心性に働いて下降を制御する。

立ち上がり動作の相分けも頻出。第1相=屈曲相(体幹前傾、殿部離床前)、第2相=殿部離床、第3相=伸展相、第4相=安定相。殿部離床の直前に体重心の前方移動が最大となり、足関節背屈は約10〜15度必要とされる。

臨床では、足を前に投げ出したまま座る(下腿を前傾させない)ドスン座りが典型例で、足関節背屈制限・下腿三頭筋の短縮・膝伸展筋の遠心性筋力低下・後方への恐怖感が背景要因になる。

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