PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午後 第34問

運動療法第47回午後

第47回 理学療法士国家試験 午後 第34問(運動療法)の正答は 5 です。これは適切でないものを選ぶ設問である。

問題
短期間の固定後に生じた肘伸展制限に対する関節可動域運動で適切でないのはどれか。
  1. 1. 上腕二頭筋の収縮を利用する。
  2. 2. 上腕三頭筋の収縮を利用する。
  3. 3. 前処置として温熱を加える。
  4. 4. 手関節の可動域運動を行う。
  5. 5. 短時間に強い伸張を加える。

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — 短時間に強い伸張を加える。

これは適切でないものを選ぶ設問である。関節可動域運動の原則は低負荷・長時間の持続伸張であり、短時間に強い力で伸張すると疼痛と防御性収縮を招き、微小損傷から炎症・出血を起こしてかえって拘縮を悪化させる。したがって5が適切でなく、正答となる。


【各選択肢の解説】

1. 上腕二頭筋の収縮を利用する。
✅ 適切である。制限方向と反対に働く筋(ここでは肘屈筋)を等尺性収縮させた後に弛緩させると、Ⅰb抑制により筋緊張が低下して伸張しやすくなる(ホールドリラックス)。
2. 上腕三頭筋の収縮を利用する。
✅ 適切である。制限されている伸展方向の主動作筋を収縮させると、相反抑制によって拮抗筋である上腕二頭筋が弛緩し、自動介助での可動域拡大につながる。
3. 前処置として温熱を加える。
✅ 適切である。温熱はコラーゲン線維の粘弾性を高め、伸張時の疼痛を軽減する。温熱直後に伸張を行うと効果的で、物理療法と運動療法の併用の典型例である。
4. 手関節の可動域運動を行う。
✅ 適切である。固定期間中は隣接関節にも二次的な拘縮が生じやすい。手関節・手指の可動域運動は多関節にまたがる筋や浮腫の対策としても行うべきである。
5. 短時間に強い伸張を加える。
❌ 適切でない。強い伸張は疼痛と筋の防御性収縮を誘発し、組織の微小損傷から炎症・出血を起こす。特に肘関節は外傷後に異所性骨化を生じやすく、強引な矯正は禁忌に近い。

【試験対策ポイント】

伸張運動の原則は「弱い力で・長く・痛みのない範囲で」。目安として20〜60秒以上の持続伸張を繰り返し、翌日に疼痛や腫脹が残らない強度にとどめる。

肘関節は外傷後に拘縮と異所性骨化を起こしやすい代表的な関節で、強力な他動運動やマッサージは避ける。関節可動域運動の禁忌・注意は、骨折部の不安定、急性炎症・感染、深部静脈血栓症、異所性骨化の急性期、悪性腫瘍の骨転移など。

促通手技の対比も頻出。ホールドリラックス(拘縮筋を等尺性収縮させた後に弛緩、Ⅰb抑制)/コントラクトリラックス(等張性収縮を用いる)/相反抑制を用いた主動作筋の収縮(Ⅰa抑制)

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