PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午前 第87問

神経内科学第48回午前

第48回 理学療法士国家試験 午前 第87問(神経内科学)の正答は 2 です。ボツリヌス毒素療法は、痙縮を呈している標的筋そのものに直接筋肉注射を行う治療です。

問題
ボツリヌス毒素を用いた治療で正しいのはどれか。
  1. 1. ボツリヌス毒素は前角細胞に作用する。
  2. 2. 痙縮のある筋に対して筋肉注射を行う。
  3. 3. 65歳以上の高齢者には禁忌である。
  4. 4. 注射直後から最大効果を認める。
  5. 5. 効果持続は約1年間である。

正答:2番

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解説
■ 正答:2番 — 痙縮のある筋に対して筋肉注射を行う。

ボツリヌス毒素療法は、痙縮を呈している標的筋そのものに直接筋肉注射を行う治療です。毒素は運動神経終末に取り込まれてアセチルコリンの放出を阻害し、神経筋伝達を遮断することで筋緊張を低下させます。脳卒中後の上下肢痙縮や痙性斜頸、脳性麻痺の下肢痙縮などが適応です。


【各選択肢の解説】

1. ボツリヌス毒素は前角細胞に作用する。
❌ 誤り。作用部位は神経筋接合部の運動神経終末(シナプス前膜)であり、脊髄前角細胞ではありません。SNARE複合体を切断してアセチルコリンの放出を阻害します。
2. 痙縮のある筋に対して筋肉注射を行う。
✅ 正しい。痙縮筋に直接注射します。超音波や電気刺激で標的筋を同定して行うのが一般的です。
3. 65歳以上の高齢者には禁忌である。
❌ 誤り。年齢による禁忌はありません。禁忌となるのは妊婦・授乳婦、全身性の神経筋接合部疾患(重症筋無力症、Lambert-Eaton症候群、ALS)、製剤過敏症などです。
4. 注射直後から最大効果を認める。
❌ 誤り。効果発現は注射後2〜3日から1週間程度で、最大効果は2〜4週後です。直後には効きません。
5. 効果持続は約1年間である。
❌ 誤り。効果持続は約3〜4か月で、その後は神経終末の再生により効果が減弱するため、必要に応じて反復投与します(再投与は原則3か月以上の間隔)。

【試験対策ポイント】

数字が集中的に狙われます。発現2〜3日/最大2〜4週/持続3〜4か月/再投与間隔3か月以上をセットで暗記してください。

理学療法との関係が最重要です。ボツリヌス療法は「筋緊張を下げる窓」を作る治療であり、単独では機能改善に結びつきません。効果が出ている期間に集中的にストレッチ・関節可動域運動・装具装着・課題志向型訓練を行うことで、拘縮予防と機能改善につなげます。国試では「注射後は安静にする」といった選択肢が誤りとして出るので注意しましょう。

痙縮に対する他の治療との違いも整理します。
フェノールブロック:末梢神経に注入。効果は長いが感覚障害を残すことがある
バクロフェン髄注療法(ITB):ポンプ植込みで髄腔内投与。広範囲・重度の痙縮に有効
ボツリヌス毒素:局所の特定筋を選択的に緩められるのが最大の利点

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