第48回 理学療法士国家試験 午後 第5問
神経内科学第48回午後
第48回 理学療法士国家試験 午後 第5問(神経内科学)の正答は 1 です。図は脊髄の血管支配を示したもので、矢印は脊髄の腹側正中を縦走する1本の太い血管=前脊髄動脈を指しています(背側には左右2本の後脊髄動脈が走っています)。
問題
20歳の女性。下肢機能障害のために血管造影検査を行った。図の矢印の部位(第8胸髄レベル)の閉塞が認められた。機能が維持されると考えられるのはどれか。
- 1. 位置覚 ✓
- 2. 痛覚
- 3. 触覚
- 4. 筋力
- 5. 排尿機能
正答:1番
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解説
■ 正答:1番 — 位置覚
図は脊髄の血管支配を示したもので、矢印は脊髄の腹側正中を縦走する1本の太い血管=前脊髄動脈を指しています(背側には左右2本の後脊髄動脈が走っています)。第8胸髄レベルで前脊髄動脈が閉塞すると脊髄の前2/3(前索・側索・灰白質)が虚血に陥る前脊髄動脈症候群となり、後脊髄動脈が栄養する後索だけが保たれます。後索を上行する深部感覚(位置覚・振動覚)が維持されます。
【各選択肢の解説】
1. 位置覚
✅ 正しい。位置覚(関節覚)・振動覚は後索(薄束・楔状束)を上行します。後索は後脊髄動脈の支配領域であり、前脊髄動脈閉塞では保たれます。
✅ 正しい。位置覚(関節覚)・振動覚は後索(薄束・楔状束)を上行します。後索は後脊髄動脈の支配領域であり、前脊髄動脈閉塞では保たれます。
2. 痛覚
❌ 誤り。痛覚は外側脊髄視床路を上行します。側索は前脊髄動脈の支配領域に含まれるため障害され、損傷レベル以下の温痛覚が脱失します。
❌ 誤り。痛覚は外側脊髄視床路を上行します。側索は前脊髄動脈の支配領域に含まれるため障害され、損傷レベル以下の温痛覚が脱失します。
3. 触覚
❌ 誤り。粗大な触覚・圧覚を伝える前脊髄視床路は前索を通り、前脊髄動脈の支配領域に含まれるため障害されます。
❌ 誤り。粗大な触覚・圧覚を伝える前脊髄視床路は前索を通り、前脊髄動脈の支配領域に含まれるため障害されます。
4. 筋力
❌ 誤り。側索の外側皮質脊髄路と前角細胞が障害され、損傷レベル以下の運動麻痺(対麻痺)を生じます。本症例が下肢機能障害で受診した理由そのものです。
❌ 誤り。側索の外側皮質脊髄路と前角細胞が障害され、損傷レベル以下の運動麻痺(対麻痺)を生じます。本症例が下肢機能障害で受診した理由そのものです。
5. 排尿機能
❌ 誤り。膀胱直腸機能を制御する自律神経の下行路も前索・側索を通るため障害され、排尿障害を生じます。
❌ 誤り。膀胱直腸機能を制御する自律神経の下行路も前索・側索を通るため障害され、排尿障害を生じます。
【試験対策ポイント】
前脊髄動脈症候群=「深部感覚だけが残る」と覚えます。前脊髄動脈は1本で脊髄の前2/3(前索・側索・灰白質)を栄養し、閉塞すると運動麻痺・温痛覚脱失・膀胱直腸障害が生じます。後脊髄動脈は左右2本あり後索(脊髄の後1/3)を栄養するため、位置覚・振動覚は保たれます。
胸髄中位(T4〜T9付近)は前脊髄動脈の血流が乏しい分水嶺領域で虚血に弱く、大動脈解離・大動脈手術の合併症として生じることが多い点も頻出です。下位胸髄〜腰髄を養う最大の根動脈がAdamkiewicz動脈です。鑑別として、後索が障害され深部感覚が脱失するのは脊髄癆・亜急性連合性脊髄変性症・Brown-Séquard症候群(同側)で、前脊髄動脈症候群とは逆の感覚解離になります。
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