PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午後 第10問

内科学・臨床医学第48回午後

第48回 理学療法士国家試験 午後 第10問(内科学・臨床医学)の正答は 2 です。発症後14日間の安静により下肢深部静脈に血栓が形成されやすい状態にあり、そこへ歩行という下肢の運動が加わって血栓が遊離し、肺動脈を閉塞したと考えられます。

問題
65歳の男性。脳梗塞。急性心不全の合併のため発症後14日目から訓練を開始することになった。訓練開始翌日の歩行訓練中に突然胸痛を訴え、SpO₂(経皮的酸素飽和度)が97 %から88 %まで低下した。病態で最も考えられるのはどれか。
  1. 1. 胃痙攣
  2. 2. 肺塞栓
  3. 3. 喘息発作
  4. 4. 低血糖発作
  5. 5. 起立性低血圧

正答:2番

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解説
■ 正答:2番 — 肺塞栓

発症後14日間の安静により下肢深部静脈に血栓が形成されやすい状態にあり、そこへ歩行という下肢の運動が加わって血栓が遊離し、肺動脈を閉塞したと考えられます。突然の胸痛と、SpO₂が97%から88%へ急激に低下した(=急激な換気血流不均衡が生じた)という所見は肺血栓塞栓症に典型的です。


【各選択肢の解説】

1. 胃痙攣
❌ 誤り。心窩部を中心とした腹痛が主体で、SpO₂が10ポイントも急低下することはありません。
2. 肺塞栓
✅ 正しい。長期臥床後の歩行開始という典型的な発症状況で、突然の胸痛・呼吸困難・SpO₂の急激な低下がみられており、肺血栓塞栓症が最も考えられます。
3. 喘息発作
❌ 誤り。喘息では呼気性喘鳴と呼気延長が主症状で、突然の「胸痛」で発症するのは典型的ではありません。喘息の既往の記載もありません。
4. 低血糖発作
❌ 誤り。冷汗・振戦・動悸・意識レベル低下が主症状で、胸痛やSpO₂の急低下は生じません。
5. 起立性低血圧
❌ 誤り。起立直後のふらつき・眼前暗黒感・血圧低下が主症状です。SpO₂は通常保たれ、胸痛も生じません。

【試験対策ポイント】

肺血栓塞栓症は理学療法中に起こりうる最も危険な合併症のひとつで、「長期臥床後の初回離床・歩行時」「排便でいきんだ直後」に多発します。

  • 三徴:突然の呼吸困難・胸痛・頻呼吸。加えてSpO₂低下、頻脈、血圧低下、失神。
  • 危険因子はVirchowの三徴(血流停滞・血管内皮障害・血液凝固能亢進)で、長期臥床・術後(特に人工股関節・人工膝関節)・悪性腫瘍・心不全・脱水・下肢麻痺・肥満・経口避妊薬が該当します。
  • 予防:早期離床、足関節の自動底背屈運動、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法、十分な水分摂取、抗凝固療法
  • 発症を疑ったら直ちに運動を中止し、安静・酸素投与・医師への報告を行います。自分でマッサージしたり歩かせ続けたりしてはいけません。
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