PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午後 第12問

神経内科学第48回午後

第48回 理学療法士国家試験 午後 第12問(神経内科学)の正答は 5 です。頭部CTでは、左(画像では右側)の頭蓋骨内板に沿って前後に広く広がる三日月形(半月状)の高吸収域がみられ、正中構造は右へ偏位(midline shift)して左側脳室が圧排されています。

問題
66歳の女性。右利き。階段から転落。転落直後は意識消失していたが、数分後に意識回復。しばらくの間、意識は清明であったが、1時間後に手足の麻痺が出現し、再び意識が低下して昏睡になった。救急搬送時の頭部CT(別冊No. 3)を別に示す。最も考えられるのはどれか。
第48回午後第12問 図
  1. 1. 髄膜腫
  2. 2. 皮質下出血
  3. 3. くも膜下出血
  4. 4. 脳動静脈奇形
  5. 5. 急性硬膜下血腫

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — 急性硬膜下血腫

頭部CTでは、左(画像では右側)の頭蓋骨内板に沿って前後に広く広がる三日月形(半月状)の高吸収域がみられ、正中構造は右へ偏位(midline shift)して左側脳室が圧排されています。三日月形=硬膜下、凸レンズ形=硬膜外という鑑別の基本と、外傷後に一時意識が戻った後で意識障害と右片麻痺が進行した経過から、急性硬膜下血腫と判断できます。


【各選択肢の解説】

1. 髄膜腫
❌ 誤り。髄膜腫は硬膜に広基性に付着する境界明瞭な腫瘤影で、症状は緩徐に進行します。転倒直後から急激に意識障害を来す本症例の経過とは一致しません。
2. 皮質下出血
❌ 誤り。皮質下出血は脳実質内に限局した高吸収域として描出されます。本例の高吸収域は脳表と頭蓋骨の間に沿って広がっており、脳実質内ではありません。
3. くも膜下出血
❌ 誤り。くも膜下出血ではシルビウス裂・脳底槽・大脳縦裂といった脳槽に沿った高吸収(ヒトデ型・五角形)を呈します。片側凸面に沿った三日月形にはなりません。
4. 脳動静脈奇形
❌ 誤り。異常血管塊が造影で描出される先天性血管奇形で、破裂すれば脳内出血やくも膜下出血の形をとります。本例の血腫の形状・分布とは一致しません。
5. 急性硬膜下血腫
✅ 正しい。頭蓋骨内板に沿った三日月形の高吸収域と正中偏位を認め、頭部外傷後に意識清明期を経て意識障害・片麻痺が進行した経過とも合致します。

【試験対策ポイント】

外傷性頭蓋内血腫はCTの形が決め手です。

疾患CTの形出血源特徴
急性硬膜外血腫凸レンズ形(紡錘形)中硬膜動脈骨縫合を越えない、意識清明期が典型的、頭蓋骨骨折を伴う
急性硬膜下血腫三日月形(半月状)架橋静脈骨縫合を越えて広がる、脳挫傷を合併しやすく予後不良
慢性硬膜下血腫三日月形(低〜等吸収)架橋静脈軽微な外傷の1〜2か月後、高齢者・アルコール多飲者、穿頭洗浄で改善

意識清明期(lucid interval)は硬膜外血腫で典型的ですが、本問のように硬膜下血腫でも生じます。「清明期があるから硬膜外」と決めつけず、必ずCTの形で判断してください。血腫が大脳を圧排して正中偏位が生じている場合は脳ヘルニアの危険があり、緊急開頭血腫除去の適応となります。

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