PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午後 第14問

整形外科学第48回午後

第48回 理学療法士国家試験 午後 第14問(整形外科学)の正答は 4 です。写真では両上肢を下垂・回外した肢位で、左肘の外反角(carrying angle)が右に比べて明らかに増大しており、外反肘(cubitus valgus)を呈しています。

問題
15歳の男子。6歳時に転倒して左上腕骨外顆骨折の診断で骨接合術を受けた。最近左手のしびれを訴えるようになり受診した。両肘の伸展を行わせたところ、両側とも完全伸展が可能であったが左肘に図の様な変形を認めた。この患者で最も考えられるのはどれか。
第48回午後第14問 図
  1. 1. 腋窩神経障害
  2. 2. 筋皮神経障害
  3. 3. 正中神経障害
  4. 4. 尺骨神経障害
  5. 5. 橈骨神経障害

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 尺骨神経障害

写真では両上肢を下垂・回外した肢位で、左肘の外反角(carrying angle)が右に比べて明らかに増大しており、外反肘(cubitus valgus)を呈しています。小児期の上腕骨外顆骨折後の変形治癒・骨端成長障害では外反肘となり、肘の内側(肘部管)を走る尺骨神経が慢性的に牽引・摩擦を受けて数年から十数年後に麻痺を来します(遅発性尺骨神経麻痺)。手のしびれの原因は尺骨神経障害です。


【各選択肢の解説】

1. 腋窩神経障害
❌ 誤り。腋窩神経麻痺では三角筋の萎縮による肩関節外転障害と、肩外側の感覚障害を生じます。肘の変形や手のしびれとは関係しません。
2. 筋皮神経障害
❌ 誤り。筋皮神経麻痺では上腕二頭筋の筋力低下(肘屈曲・前腕回外の障害)と前腕橈側の感覚障害を生じます。手指のしびれの分布と一致しません。
3. 正中神経障害
❌ 誤り。正中神経は肘窩の前面を通り、外反肘による牽引を受けにくい位置にあります。障害されると母指から環指橈側の感覚障害と母指対立障害を生じます。
4. 尺骨神経障害
✅ 正しい。外反肘により上腕骨内側上顆後方の肘部管で尺骨神経が牽引・圧迫され、遅発性尺骨神経麻痺を生じます。小指と環指尺側のしびれ、骨間筋・小指球筋の萎縮、鉤爪指変形を来します。
5. 橈骨神経障害
❌ 誤り。橈骨神経麻痺では下垂手(手関節・手指MP関節の伸展障害)と手背橈側の感覚障害を生じます。本症例の症状と一致しません。

【試験対策ポイント】

小児の肘周辺骨折と後遺症の対応は頻出です。上腕骨顆上骨折→内反肘(銃剣状変形)、合併症はVolkmann拘縮と正中(前骨間)神経麻痺。上腕骨外顆骨折→外反肘、合併症は偽関節と遅発性尺骨神経麻痺。「外顆=外反肘=数年後のしびれ=尺骨神経」と一続きで覚えます。

尺骨神経麻痺の所見は、鉤爪指(claw hand)Froment徴候陽性(母指内転筋麻痺のため紙をつまむと母指IP関節が屈曲する)、骨間筋・小指球筋の萎縮、小指と環指尺側の感覚障害です。肘部管症候群では肘屈曲位で症状が増強し、肘屈曲テストやTinel徴候が陽性となります。

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