PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第49回 理学療法士国家試験 午後 第5問

神経内科学第49回午後

第49回 理学療法士国家試験 午後 第5問(神経内科学)の正答は 4 です。めまい・眼振、右の小脳性運動失調とHorner症候群、右顔面の温痛覚障害、左上下肢の温痛覚障害(深部感覚は正常)という組合せは、延髄外側症候群(Wallenberg症候群)の典型像です。

問題
58歳の男性。生来健康であったが、突然のめまいと歩行困難で救急搬送された。脳梗塞の診断で理学療法が開始された。理学療法の初期評価では、めまい、眼振とともに、右側には小脳性の運動失調、Horner症候群および顔面の温痛覚障害がみられた。左側には上下肢の温痛覚障害がみられたが深部感覚は保たれていた。病巣はどれか。
第49回午後第5問 図
  1. 1. 中脳 右側中央部
  2. 2. 中脳 右腹側
  3. 3. 橋 右背側
  4. 4. 延髄 右外側
  5. 5. 延髄 正中腹側

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 延髄 右外側

めまい・眼振、の小脳性運動失調とHorner症候群、顔面の温痛覚障害、上下肢の温痛覚障害(深部感覚は正常)という組合せは、延髄外側症候群(Wallenberg症候群)の典型像です。図の4は延髄の右外側(背外側)が病巣として塗られており、これに一致します。


【各選択肢の解説】

1. 中脳 右側中央部
❌ 誤り。中脳被蓋の病変では動眼神経麻痺、不随意運動、意識障害などが主体で、顔面と体幹四肢が食い違う交代性の温痛覚障害は説明できない。
2. 中脳 右腹側
❌ 誤り。大脳脚の位置で、Weber症候群(同側の動眼神経麻痺+対側の片麻痺)となる。本例には運動麻痺がなく合わない。
3. 橋 右背側
❌ 誤り。橋背側では外転神経・顔面神経麻痺や内側縦束症候群(核間性眼筋麻痺)が加わる。Horner症候群・同側顔面の温痛覚障害・小脳失調がそろうのは延髄外側。
4. 延髄 右外側
✅ 正しい。障害される構造と症状は、下小脳脚(同側の小脳失調)、三叉神経脊髄路核(同側顔面の温痛覚障害)、外側脊髄視床路(対側半身の温痛覚障害)、交感神経下行路(同側Horner症候群)、前庭神経核(めまい・眼振)、疑核(嚥下障害・嗄声)。後下小脳動脈(PICA)または椎骨動脈の閉塞で生じる。
5. 延髄 正中腹側
❌ 誤り。延髄内側症候群(Dejerine症候群)の部位で、対側の片麻痺と深部感覚障害+同側の舌下神経麻痺(挺舌で病側に偏る)となる。本例は深部感覚が保たれており合わない。

【試験対策ポイント】

Wallenberg症候群は脳幹症候群の最頻出です。次の3点で他と区別できます。

1. 運動麻痺がない … 錐体路は延髄腹側を通るので、外側の病変では障害されない。

2. 解離性感覚障害 … 温痛覚(外側脊髄視床路)だけが障害され、深部感覚(後索)は保たれる。

3. 交代性感覚障害 … 顔面は同側、体幹四肢は対側に温痛覚障害が出る。三叉神経脊髄路核は交叉前、脊髄視床路は交叉後だから。

そのほか、嚥下障害・嗄声(疑核)、しゃっくり、患側へのlateropulsionも特徴です。脳幹症候群は「交叉性(同側の脳神経症状+対側の長経路症状)」を見つけたら病巣は脳幹、と即断できるようにしておきます。

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