PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第49回 理学療法士国家試験 午後 第6問

神経内科学第49回午後

第49回 理学療法士国家試験 午後 第6問(神経内科学)の正答は 3 です。延髄外側症候群(Wallenberg症候群)では、前庭神経核や下小脳脚・脊髄小脳路が障害されるため、立位や歩行のときに病巣側へ引っ張られるように倒れる側方突進(lateropulsion)が起こります。

問題
58歳の男性。生来健康であったが、突然のめまいと歩行困難で救急搬送された。脳梗塞の診断で理学療法が開始された。理学療法の初期評価では、めまい、眼振とともに、右側には小脳性の運動失調、Horner症候群および顔面の温痛覚障害がみられた。左側には上下肢の温痛覚障害がみられたが深部感覚は保たれていた。この患者が立位をとったところ、不安定で突進するような現象(pulsion)がみられるために介助が必要であった。この現象がみられる方向はどれか。
  1. 1. 後方
  2. 2. 前方
  3. 3. 右側方
  4. 4. 左側方
  5. 5. 全方向

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 右側方

延髄外側症候群(Wallenberg症候群)では、前庭神経核や下小脳脚・脊髄小脳路が障害されるため、立位や歩行のときに病巣側へ引っ張られるように倒れる側方突進(lateropulsion)が起こります。本例の病巣は右延髄外側なので、突進する方向は右側方です。


【各選択肢の解説】

1. 後方
❌ 誤り。後方突進(retropulsion)は進行性核上性麻痺やParkinson病でみられる姿勢障害で、延髄外側病変の特徴ではない。
2. 前方
❌ 誤り。前方への加速歩行(突進歩行)はParkinson病の特徴。基底核の障害による姿勢調節の異常であり、本例とは機序が異なる。
3. 右側方
✅ 正しい。延髄外側症候群では病巣と同じ側(本例では右)へのlateropulsionが特徴的で、閉眼や狭い支持基底面でより顕著になる。
4. 左側方
❌ 誤り。温痛覚障害や運動麻痺は対側(左)に出るが、姿勢の偏りは病巣側に向かう。「感覚は反対、姿勢は同じ側」と覚える。
5. 全方向
❌ 誤り。小脳虫部の病変や両側の前庭障害では動揺が全方向性になるが、一側性の延髄外側病変では病巣側に方向性をもって偏る。

【試験対策ポイント】

突進現象(pulsion)は方向と疾患をセットで整理します。

  • 側方突進(lateropulsion) … 延髄外側症候群。病巣側へ倒れる。前庭神経核・下小脳脚の障害。
  • 前方突進(前方への加速歩行) … Parkinson病。姿勢反射障害(Hoehn & Yahr 3度以上)。
  • 後方突進(retropulsion) … 進行性核上性麻痺、Parkinson病。引き倒し試験で確認する。
小脳性の失調では、一側の小脳半球病変で病巣側へ倒れ、上肢は病巣側へ偏倚(指鼻試験で外れる、書字が乱れる)します。「病巣側に引っ張られる」という共通則を押さえておくと、脳幹・小脳の設問で迷いません。急性期は転倒のリスクが高いため、坐位・立位練習は必ず介助または手すり・平行棒内から始めます。

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