PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第49回 理学療法士国家試験 午後 第8問

神経疾患理学療法第49回午後

第49回 理学療法士国家試験 午後 第8問(神経疾患理学療法)の正答は 5 です。発症3年で振戦は両側にみられ、前かがみの姿勢(体幹前屈)が強くなってきた段階です。

問題
60歳の男性。Parkinson病。3年前に右手の振戦で発症し、2年前から左足と左手の振戦を認めている。最近、前かがみが強くなり、腹部が締めつけられるような感覚を生じることがある。独歩は可能。事務仕事を継続している。外来時の指導で適切なのはどれか。
  1. 1. 呼吸法
  2. 2. 毎日10分間の散歩
  3. 3. 体幹コルセットの装着
  4. 4. 四肢の高負荷筋力トレーニング
  5. 5. 肩甲帯と体幹を大きく動かす運動

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — 肩甲帯と体幹を大きく動かす運動

発症3年で振戦は両側にみられ、前かがみの姿勢(体幹前屈)が強くなってきた段階です。この時期の外来指導では、姿勢異常の進行を防ぎ体幹の伸展・回旋の可動性を保つことが最優先であり、肩甲帯と体幹を大きく動かす運動が最も適切です。腹部の締めつけ感も屈曲姿勢に伴って生じやすい症状です。


【各選択肢の解説】

1. 呼吸法
❌ 誤り。呼吸障害が前面に出るのは進行期。現時点で優先すべきは姿勢と体幹の可動性であり、体幹を伸展・回旋させる運動を行えば胸郭の可動性も同時に改善する。
2. 毎日10分間の散歩
❌ 誤り。すでに独歩でき事務職を続けている段階で、10分の散歩では運動量も動作の大きさも不足しており、屈曲姿勢の進行を止められない。
3. 体幹コルセットの装着
❌ 誤り。体幹の運動を制限してしまい、屈曲姿勢の固定化と体幹筋の廃用を助長する。姿勢異常に対して装具で押さえ込む方法は選ばない。
4. 四肢の高負荷筋力トレーニング
❌ 誤り。Parkinson病の動作障害の本質は筋力低下ではなく、動作の小ささ(無動・寡動)と遅さ。高負荷は疲労と転倒のリスクを高めるだけで、姿勢異常には結びつかない。
5. 肩甲帯と体幹を大きく動かす運動
✅ 正しい。振幅の大きい運動(LSVT BIGなど)は前傾姿勢の是正、体軸内回旋の維持、寝返り・起き上がり・歩行時の腕振りの改善につながる。

【試験対策ポイント】

Parkinson病の運動療法は「大きく・速く・リズムをつけて・手がかりを使って」が原則です。

  • 大きく(振幅を意識させる) … 小さくなる動作を本人の感覚ではなく外から大きさを指定して修正する。
  • 外的手がかり(cue) … すくみ足には床の横線をまたぐ(視覚キュー)、号令やメトロノーム(聴覚キュー)が有効。
  • 姿勢 … 体幹の伸展・回旋、肩甲帯の可動性を保つ運動を毎日続ける。コルセットや安静は逆効果。
Hoehn & Yahr重症度分類では、1度=一側性、2度=両側性で姿勢反射障害なし、3度=姿勢反射障害あり(介助不要)、4度=介助が必要だが起立・歩行可能、5度=車椅子・寝たきり。本例は両側性の振戦と姿勢異常で2〜3度相当であり、転倒予防と姿勢の維持が課題の中心になります。

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