PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第49回 理学療法士国家試験 午後 第12問

神経内科学第49回午後

第49回 理学療法士国家試験 午後 第12問(神経内科学)の正答は 2 です。頸椎MRIの矢状断では、中位頸椎レベルで椎間板が後方に突出し、脊髄前面のくも膜下腔が消失して脊髄が強く圧迫されています。

問題
56歳の男性。数年前から頸椎椎間板ヘルニアを指摘されていた。昨日、自宅で転倒して突然に麻痺を呈した。頸髄損傷と診断され、主な損傷部位以下の機能はASIA機能障害尺度でBである。頸椎MRI(別冊No.2)を別に示す。正しいのはどれか。
第49回午後第12問 図
  1. 1. 横隔膜の麻痺がある。
  2. 2. 肩をすくめることができる。
  3. 3. スプーンを握り食事ができる。
  4. 4. 棚の上の物をとることができる。
  5. 5. 頸部を回旋することができない。

正答:2番

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解説
■ 正答:2番 — 肩をすくめることができる。

頸椎MRIの矢状断では、中位頸椎レベルで椎間板が後方に突出し、脊髄前面のくも膜下腔が消失して脊髄が強く圧迫されています。上位頸髄(C1〜C3)は圧迫されていません。ASIA機能障害尺度Bは「運動完全麻痺・感覚不全麻痺」ですから、損傷高位より下の筋は随意収縮しません。一方、肩をすくめる僧帽筋上部線維は脳神経である副神経(+C3・C4)に支配されるため頸髄損傷では障害されず、肩をすくめることができます。


【各選択肢の解説】

1. 横隔膜の麻痺がある。
❌ 誤り。横隔膜は横隔神経(C3〜C5、主にC4)支配。画像の圧迫部位は中位頸椎であり上位頸髄は保たれているので、自発呼吸は維持される。
2. 肩をすくめることができる。
✅ 正しい。僧帽筋上部線維は副神経(第XI脳神経)支配のため、頸髄損傷の高位にかかわらず機能が残る。
3. スプーンを握り食事ができる。
❌ 誤り。スプーンを握るには手指屈筋(C8)と手内在筋(T1)が必要で、中位頸髄の損傷では不可能。把持装具や太柄・カフ付きの自助具が必要になる。
4. 棚の上の物をとることができる。
❌ 誤り。頭上へ手を伸ばすには肩関節の挙上に加えて肘伸展(上腕三頭筋:C7)が必要であり、この高位では困難。
5. 頸部を回旋することができない。
❌ 誤り。頸部回旋の主動筋である胸鎖乳突筋も副神経支配であり、頸髄損傷でも保たれる。

【試験対策ポイント】

頸髄損傷は残存高位=キー筋=できるADLの3点セットで覚えます。

髄節キー筋できるようになること
C4横隔膜・僧帽筋自発呼吸。顎や呼気で操作する電動車椅子
C5三角筋・上腕二頭筋肘屈曲。自助具を用いた食事・整容
C6長短橈側手根伸筋手関節背屈による把持(tenodesis把持)、プッシュアップ・移乗が可能に
C7上腕三頭筋肘伸展。移乗・車椅子ADLが自立
C8〜T1手指屈筋・手内在筋握り・つまみが可能

副神経支配の僧帽筋・胸鎖乳突筋は頸髄損傷では障害されないという点は繰り返し問われます。ASIA機能障害尺度はA=完全麻痺、B=運動完全・感覚不全、C=主要筋の半数以上がMMT3未満、D=半数以上がMMT3以上、E=正常です。

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