第49回 理学療法士国家試験 午後 第11問
第49回 理学療法士国家試験 午後 第11問(神経疾患理学療法)の正答は 5 です。右前脛骨筋を中心とした筋力低下で下垂足となり、つまずきと、それを避けるために膝を高く上げる代償的な歩行(鶏歩)が出ている段階です。
- 1. 座位時は足を挙上しておく。
- 2. 移動時に車椅子を利用する。
- 3. 立ち上がり運動を繰り返す。
- 4. 前脛骨筋に治療的電気刺激を行う。
- 5. 右側プラスチック短下肢装具を装着する。 ✓
正答:5番
右前脛骨筋を中心とした筋力低下で下垂足となり、つまずきと、それを避けるために膝を高く上げる代償的な歩行(鶏歩)が出ている段階です。筋萎縮性側索硬化症は進行性で筋力の回復は望めないため、機能を取り戻す訓練ではなく、残っている機能で安全に歩けるように装具で補うことが適切です。右にプラスチック短下肢装具を装着し、遊脚期の足尖のクリアランスを確保して転倒を防ぎます。
【各選択肢の解説】
❌ 誤り。浮腫の予防にはなるが、下垂足によるつまずきという本例の問題には対応していない。
❌ 誤り。まだ通勤できるだけの歩行能力があり、この段階での車椅子導入は残存機能の廃用を早める。装具や歩行補助具でまず歩行を安全にする。
❌ 誤り。筋萎縮性側索硬化症では過用性筋力低下(overwork weakness)を招く恐れがあり、翌日まで疲労が残るような反復運動は避ける。
❌ 誤り。原因は運動ニューロンの変性であり、電気刺激で筋力を回復させることはできない。むしろ過用のリスクがある。
✅ 正しい。軽量で靴に入れやすく、足関節を背屈位に保って遊脚期の引っかかりと立脚初期のフットスラップを防ぐ。
【試験対策ポイント】
筋萎縮性側索硬化症の理学療法は「過用も廃用も避ける」が原則です。中等度以下(最大筋力の30〜40%程度)の負荷で関節可動域と呼吸機能を保ち、翌日に疲労を残さない範囲にとどめます。進行に合わせて、装具 → 歩行補助具 → 車椅子 → コミュニケーション機器・呼吸管理へと段階的に移行します。
診断の根拠となる所見も押さえます。針筋電図での高振幅・長持続の運動単位電位と線維束自発電位(fasciculation potential)は下位運動ニューロンの障害を示し、腱反射亢進・Babinski徴候陽性は上位運動ニューロン障害を示します。上位と下位の両方の運動ニューロン徴候がそろうのが筋萎縮性側索硬化症の特徴で、眼球運動・膀胱直腸機能・感覚・褥瘡は原則として保たれる(陰性4徴候)ことも頻出です。
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