PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第49回 理学療法士国家試験 午後 第25問

神経内科学第49回午後

第49回 理学療法士国家試験 午後 第25問(神経内科学)の正答は 2 です。肩手症候群は脳卒中後に生じる複合性局所疼痛症候群(CRPS type I)で、麻痺側の肩の疼痛と、手のびまん性の腫脹・熱感・発汗・可動域制限を呈します。

問題
脳卒中後の肩手症候群について正しいのはどれか。
  1. 1. 患側の手に冷感がみられる。
  2. 2. 麻痺が重度の場合に発症しやすい。
  3. 3. 星状神経節ブロックは無効である。
  4. 4. 脳卒中発症後3週以内に生じやすい。
  5. 5. 自動的な関節可動域運動は症状を悪化させる。

正答:2番

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解説
■ 正答:2番 — 麻痺が重度の場合に発症しやすい。

肩手症候群は脳卒中後に生じる複合性局所疼痛症候群(CRPS type I)で、麻痺側の肩の疼痛と、手のびまん性の腫脹・熱感・発汗・可動域制限を呈します。弛緩性で重度の麻痺、肩関節亜脱臼、上肢の乱暴な他動運動や牽引、ベッド上での不良肢位が誘因となるため、麻痺が重度なほど発症しやすくなります。


【各選択肢の解説】

1. 患側の手に冷感がみられる。
❌ 誤り。急性期(第1期)は手指の腫脹・発赤・熱感・発汗過多が特徴。冷感や皮膚・爪の萎縮は慢性期(萎縮期)の所見であり、初期像としては当てはまらない。
2. 麻痺が重度の場合に発症しやすい。
✅ 正しい。弛緩性麻痺で上肢の自動運動が乏しく、肩関節亜脱臼を伴う症例に多い。
3. 星状神経節ブロックは無効である。
❌ 誤り。交感神経の関与が大きく、星状神経節ブロックは有効な治療法の一つ。ほかに副腎皮質ステロイド、消炎鎮痛薬、理学療法を組み合わせる。
4. 脳卒中発症後3週以内に生じやすい。
❌ 誤り。発症後1〜3か月ごろ(多くは2〜3か月)に好発する。急性期を過ぎ、離床が進む時期に多い。
5. 自動的な関節可動域運動は症状を悪化させる。
❌ 誤り。疼痛のない範囲での自動運動・自動介助運動はむしろ推奨される。悪化させるのは、麻痺側上肢を引っ張る介助や、痛みを我慢させる強引な他動運動である。

【試験対策ポイント】

肩手症候群は予防がすべてです。

1. 肩関節亜脱臼への対応 … アームスリングやテーブル・車椅子アームサポートで上肢の重みを支える。座位・臥位でのポジショニングを徹底する。

2. 麻痺側上肢を引っ張らない … 起き上がりや移乗の介助で麻痺側の手を引かない。オーバーヘッドプーリー(滑車運動)は肩を痛めるため避ける。

3. 点滴刺入部の管理 … 麻痺側への点滴や外傷は誘因になる。

4. 早期からの自動運動 … 疼痛のない範囲で麻痺側上肢を動かし、浮腫を予防する(挙上・圧迫も併用)。

診断の補助として、単純X線での斑状の骨萎縮(Sudeck骨萎縮)や骨シンチグラフィでの患側の集積亢進がみられます。脳卒中後の肩の痛みには、ほかに腱板損傷・上腕二頭筋長頭腱炎・痙縮による拘縮などもあり、鑑別が問われます。

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