PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第49回 理学療法士国家試験 午後 第83問

神経内科学第49回午後

第49回 理学療法士国家試験 午後 第83問(神経内科学)の正答は 5 です。脊髄ショック期は損傷直後から数日〜数週間続く時期で、損傷レベル以下のすべての反射が消失し、弛緩性麻痺・膀胱直腸の弛緩性障害を呈します。

問題
頸髄損傷患者でみられる脊髄ショック期の徴候はどれか。
  1. 1. 温痛覚解離
  2. 2. 腱反射亢進
  3. 3. 痙性四肢麻痺
  4. 4. 自律神経過反射
  5. 5. 肛門括約筋反射消失

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — 肛門括約筋反射消失

脊髄ショック期は損傷直後から数日〜数週間続く時期で、損傷レベル以下のすべての反射が消失し、弛緩性麻痺・膀胱直腸の弛緩性障害を呈します。肛門括約筋反射(球海綿体反射・肛門反射)の消失はこの時期の代表的徴候であり、これらの反射の回復がショック期離脱の指標になります。


【各選択肢の解説】

1. 温痛覚解離
❌ 誤り。温痛覚だけが障害され触覚・深部感覚が保たれる解離性感覚障害は、脊髄空洞症や前脊髄動脈症候群、Brown-Séquard症候群で見られる所見で、脊髄ショックの徴候ではありません。
2. 腱反射亢進
❌ 誤り。ショック期には腱反射は消失します。亢進が出現するのはショック期を脱してから(数週間後)で、痙性麻痺への移行を意味します。
3. 痙性四肢麻痺
❌ 誤り。ショック期は弛緩性四肢麻痺です。痙縮が出てくるのはショック期離脱後です。
4. 自律神経過反射
❌ 誤り。T6より上位の損傷で、膀胱充満や便秘などの刺激により発作性高血圧・頭痛・徐脈・発汗をきたす病態ですが、これも脊髄反射が回復した慢性期に起こります。ショック期には生じません。
5. 肛門括約筋反射消失
✅ 正しい。仙髄反射である肛門反射・球海綿体反射の消失は脊髄ショック期の典型所見です。これらが回復すれば脊髄ショックを脱したと判断され、そこで初めて完全麻痺か不全麻痺かの予後判定が可能になります。

【試験対策ポイント】

脊髄ショック期と慢性期の対比が最頻出です。

項目脊髄ショック期ショック離脱後(慢性期)
麻痺の性状弛緩性痙性(頸髄・胸髄損傷の場合)
腱反射消失亢進・病的反射出現
球海綿体反射消失回復
膀胱弛緩性・尿閉反射性(核上型)または自律性
自律神経過反射なしT6以上でみられる
血圧神経原性ショックで低血圧・徐脈起立性低血圧・過反射で高血圧発作

損傷直後の低血圧・徐脈は出血性ショックと異なり徐脈を伴う点が鑑別点です(交感神経遮断による神経原性ショック)。またASIA分類による完全/不全の判定は、脊髄ショックを脱してから行うことも覚えておきましょう。

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