第15回 言語聴覚士国家試験 第113問
臨床神経学第15回
多発性硬化症で誤っているのはどれか。
- 1.初発年齢は30歳をピークとする。
- 2.白色人種と比べて日本人に多い。 ✓
- 3.日本人では視神経脊髄型が多い。
- 4.インターフェロンβ療法は再発率を低下させる。
- 5.大脳白質に脱随巣がみられる。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 白色人種と比べて日本人に多い。
多発性硬化症(MS)は白色人種に圧倒的に多く、日本人を含む東アジア人では罹患率が低いことが知られています。日本人では、むしろ視神経脊髄型多発性硬化症(OSMS)という限定的な表現型が比較的多くみられるという特徴がありますが、全体の人口当たりの罹患率は白色人種よりも有意に低いため、「白色人種と比べて日本人に多い」という記述は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 初発年齢は30歳をピークとする。
✅ 正しい。多発性硬化症の発症年齢は20~40歳が最多であり、特に30歳代をピークとするとされています。
2. 白色人種と比べて日本人に多い。
❌ 誤り。多発性硬化症は白色人種(特に北欧・スカンジナビア地域)での罹患率が非常に高く、日本人を含む東アジア人では罹患率が1/10~1/100と大幅に低いことが確立しています。
3. 日本人では視神経脊髄型が多い。
✅ 正しい。日本人や東アジア人では、視神経脊髄型多発性硬化症(opticospinal multiple sclerosis: OSMS)が相対的に多くみられる特徴があります。これはアクアポリン-4(AQP4)抗体陽性の視神経脊髄炎スペクトラム障害との関連も注視されています。
4. インターフェロンβ療法は再発率を低下させる。
✅ 正しい。インターフェロンβ療法は疾患修飾療法(DMT)の代表的な選択肢であり、再発率の低下と再発時の重症度軽減が報告されています。
5. 大脳白質に脱随巣がみられる。
✅ 正しい。多発性硬化症の特徴的な病理所見は、中枢神経白質における炎症性脱髄巣の出現です。特に脳室周囲白質、視神経、脊髄に好発します。
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【試験対策ポイント】
多発性硬化症と地理・人種分布
| 項目 | 白色人種 | 日本人・東アジア人 |
|---|---|---|
| 罹患率 | 高い(100~200/100万人) | 低い(1~10/100万人) |
| 典型的表現型 | 大脳白質型が主 | 視神経脊髄型 |
| 特徴的抗体 | MOG抗体、MS関連 | AQP4抗体関連が相対的に多い |
多発性硬化症の重要知識
- 初発年齢:20~40歳(ピーク30歳)
- 男女比:ほぼ1:1~1:1.5
- 脱髄巣の好発部位:脳室周囲白質、視神経、脊髄
- 疾患修飾療法(DMT)の効果:インターフェロンβ、グラチラマー酢酸塩、フィンゴリモドなど
地理的分布が問われやすい陥穽
- 「高い」と「多い」の違いに注意(「日本人に多い」=「世界的に多い」ではなく「日本国内で多い」を指す場合もあるが、本問は明らかに「白色人種比較」なので誤り)
- 視神経脊髄型が「日本人で多い」ことと「白色人種より多い」ことを混同しやすい