STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第15回 言語聴覚士国家試験 第120問

聴覚系第15回
正しいのはどれか。
  1. 1.音の方向覚には耳介は関与しない。
  2. 2.耳あな型補聴器をつけると裸耳と比べ外耳道の共鳴周波数は変化する。 ✓
  3. 3.鼓膜全穿孔では約60dBの聴力閾値の上昇となる。
  4. 4.アブミ骨筋の支配神経は蝸牛神経である。
  5. 5.耳垢は外耳道骨部で形成される。

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 耳あな型補聴器をつけると裸耳と比べ外耳道の共鳴周波数は変化する。 耳あな型補聴器が外耳道に挿入されると、外耳道の音響インピーダンスが変化し、共鳴周波数(通常約2.7kHz)がシフトします。これは外耳道の音響特性が補聴器装体により物理的に改変されるためであり、音響学的に重要な現象です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 音の方向覚には耳介は関与しない。 ❌ 誤り。耳介は頭部伝達関数(HRTF)の形成に重要な役割を果たし、特に垂直面における音源定位(仰角判定)に不可欠です。耳介がないと音の方向覚は著しく低下します。 2. 耳あな型補聴器をつけると裸耳と比べ外耳道の共鳴周波数は変化する。 ✅ 正しい。耳あな型補聴器の装体が外耳道に挿入されると、外耳道の音響管の長さと容積が変化し、共鳴周波数が裸耳の約2.7kHzから高周波側にシフトします。これは補聴器の周波数特性設計に考慮される重要な因子です。 3. 鼓膜全穿孔では約60dBの聴力閾値の上昇となる。 ❌ 誤り。鼓膜全穿孔による伝音性難聴は通常30dB程度(範囲:25~35dB)の聴力閾値上昇をもたらします。60dBは過大な値であり、複数の伝音性障害が合併した場合の数値です。 4. アブミ骨筋の支配神経は蝸牛神経である。 ❌ 誤り。アブミ骨筋を支配するのは顔面神経(第VII脳神経)です。蝸牛神経は聴覚伝導経路に関わり、筋肉支配は行いません。これは重要な基本知識です。 5. 耳垢は外耳道骨部で形成される。 ❌ 誤り。耳垢は外耳道軟骨部の皮脂腺・汗腺・アポクリン腺の分泌物と角化上皮が混合したものであり、骨部では形成されません。骨部は上皮が薄く、そのような腺が存在しないため耳垢形成能がありません。 --- 【試験対策ポイント】 外耳道の音響特性 | 項目 | 数値・特徴 | |---|---| | 裸耳の共鳴周波数 | 約2.7kHz | | 耳あな型補聴器装着時 | 周波数シフト(高周波側へ) | | 共鳴ピーク | 3~4kHzに現れやすい | | 影響を受ける要因 | 補聴器装体の形状・サイズ・挿入深度 | アブミ骨筋と耳小骨筋 | 筋肉 | 支配神経 | 作用 | |---|---|---| | アブミ骨筋 | 顔面神経(Ⅶ) | アブミ骨の可動性を制限 | | ツチ骨筋 | 三叉神経(Ⅴ) | ハンマーを内側に引く | | 共通機能 | 両筋協調 | 音圧レベル減衰(20dB程度) | 鼓膜穿孔による聴力閾値上昇 - 全穿孔:約30dB(重要:60dBではない) - 部分穿孔:15~25dB - 周波数特性:低音域で顕著 耳垢形成部位(否定知識) -
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