STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第15回 言語聴覚士国家試験 第121問

聴覚系第15回
補充現象が陽性となる障害部位はどれか。
  1. 1.外有毛細胞 ✓
  2. 2.耳小骨連鎖
  3. 3.耳小骨筋
  4. 4.蝸牛神経
  5. 5.聴皮質

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 外有毛細胞 補充現象(loudness recruitment)は、音圧レベルの小さな上昇で著しく大きく聞こえる現象です。これは蝸牛の内有毛細胞と蝸牛神経が正常に機能している場合に、周辺の外有毛細胞が障害されると生じます。外有毛細胞は音を増幅する役割を担っているため、これが障害されると聴覚系の自動ゲイン制御が失われ、結果として補充現象が陽性となります。 --- 【各選択肢の解説】 1. 外有毛細胞 ✅ 正しい。外有毛細胞の障害によって、蝸牛の音圧レベルに対する反応が非線形から線形に変化し、補充現象が生じます。感音難聴のうち蝸牛障害(特に外有毛細胞障害)で陽性となるのが典型です。 2. 耳小骨連鎖 ❌ 誤り。耳小骨連鎖の障害は伝音難聴を引き起こしますが、蝸牛への入力が減少するだけで、蝸牛内での信号処理は正常に保たれるため補充現象は陰性です。 3. 耳小骨筋 ❌ 誤り。耳小骨筋(中耳筋)の障害も伝音難聴に分類され、蝸牛の内有毛細胞と神経が正常であれば補充現象は陰性となります。 4. 蝸牛神経 ❌ 誤り。蝸牛神経の障害では、障害部位より中枢の聴覚経路は正常でも、末梢からの入力が減少するため、補充現象は陰性です。神経障害では補充現象が生じません。 5. 聴皮質 ❌ 誤り。聴皮質の障害は中枢聴覚障害であり、補充現象とは無関係です。補充現象は蝸牛レベルの現象であり、中枢神経系の障害では測定されません。 --- 【試験対策ポイント】 補充現象(Loudness Recruitment)の基本 | 項目 | 内容 | |---|---| | 定義 | 閾値上の小さい音圧レベルの上昇で著しく大きく聞こえる現象 | | 検査法 | ABLB検査(両耳聴覚競争検査)、LDL測定 | | 陽性 | 蝸牛(外有毛細胞)障害のみ | | 陰性 | 伝音難聴、蝸牛神経〜中枢障害 | 外有毛細胞の役割 - 音の増幅・周波数選別性の向上 - 失われると→自動ゲイン制御喪失→補充現象陽性 蝸牛レベルの現象:補充現象は蝸牛における内有毛細胞と蝸牛神経の機能が正常であることが前提条件 紛らわしい選択肢:伝音難聴(耳小骨連鎖・耳小骨筋障害)で補充現象が陰性となるのは、蝸牛への入力が単に減少するだけで、蝸牛の信号処理が正常に保たれるため
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