第15回 言語聴覚士国家試験 第122問
臨床神経学第15回
後大脳動脈の閉塞で生じないのはどれか。
- 1.純粋失読
- 2.同名性半盲
- 3.地誌的失見当
- 4.意味記憶障害 ✓
- 5.連合型視覚失認
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 意味記憶障害
後大脳動脈(PCA)閉塞は、視覚関連皮質(視覚野・紡錘状回・角回など)と左側の場合は言語関連領域に障害を生じます。意味記憶障害は主に側頭葉前内側部(海馬周辺皮質)の障害で生じ、PCA領域外の損傷が主因となるため、PCA単独閉塞では生じません。
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【各選択肢の解説】
1. 純粋失読
✅ 正しい。左PCA閉塞により角回と後部帯状回が障害されると、視覚野は保存されるが文字認識経路が断たれます。読字能力のみ喪失する純粋失読が生じます。
2. 同名性半盲
✅ 正しい。PCA閉塞の最も典型的な徴候です。視放線の後部または視覚野(17野)が障害されると、同側の同名性半盲(通常、黄斑回避性)が出現します。
3. 地誌的失見当
✅ 正しい。PCA領域に含まれる頭頂葉後部や後頭頂皮質が障害されると、空間認識と視覚情報の統合が障害され、環境内での方向感覚喪失が生じます。
4. 意味記憶障害
❌ 誤り。意味記憶は事実や知識の記憶で、その障害は側頭葉前内側部(海馬周辺皮質)の損傷が主因です。PCA領域外での損傷がより重要となるため、PCA単独閉塞では顕著には生じません。
5. 連合型視覚失認
✅ 正しい。PCA領域の視覚野と紡錘状回、側頭葉中側部が障害されると、物体の視覚的処理は保存されるが、意味理解が障害される連合型視覚失認(とくに物体失認)が生じます。
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【試験対策ポイント】
後大脳動脈(PCA)閉塞で生じる症状:
| 症状 | 神経基盤 | 特徴 |
|---|---|---|
| 同名性半盲 | 視放線後部・視覚野(17野) | PCA閉塞で最頻出 |
| 純粋失読 | 角回・後部帯状回 | 書字保存・読字障害のみ |
| 連合型視覚失認 | 紡錘状回・側頭葉中側部 | 物体識別障害(見えるが分からない) |
| 地誌的失見当 | 頭頂葉後部・後頭頂皮質 | 空間認識障害 |
| 色彩認識障害 | V4領域(中側頭回) | 色の同定困難 |
意味記憶障害が生じない理由:
- 側頭葉前内側部(海馬周辺皮質)損傷が主因
- PCAの供給領域外がより重要
- 他の脳動脈(MCA・ACA領域)の損傷で顕著化