第15回 言語聴覚士国家試験 第131問
臨床心理学第15回
認知療法について正しいのはどれか。
- 1.フラッディング法を用いる。
- 2.夢を分析する。
- 3.クライエントに指示をしない。
- 4.学習理論に基づく。
- 5.自動思考を修正する。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 自動思考を修正する。
認知療法(Cognitive Therapy)はアルバート・エリスやアーロン・ベックによって開発された心理療法で、クライエントの不適応な「自動思考」や「認知の歪み」を同定し、より合理的・現実的な思考へと修正することを目的としています。自動思考の修正を通じて、情動や行動の改善をもたらすアプローチです。
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【各選択肢の解説】
1. フラッディング法を用いる。
❌ 誤り。フラッディング法は「行動療法」に分類され、不安階層を用いずに恐怖刺激に一気に曝露させる技法です。認知療法の主要技法ではありません。認知療法はより思考的アプローチです。
2. 夢を分析する。
❌ 誤り。夢の分析は「精神分析療法」の特徴的な技法です。フロイトによって開発された精神分析では、無意識的な葛藤や願望を夢から解釈します。認知療法は現在の思考の修正に焦点を当てます。
3. クライエントに指示をしない。
❌ 誤り。認知療法は「協働的な経験主義」を基本としますが、セラピストが受け身なわけではなく、思考記録の記入やホームワークなど、積極的にクライエントに取り組みを指示・提案します。完全に指示しないわけではありません。
4. 学習理論に基づく。
❌ 誤り。学習理論に基づくのは「行動療法」(オペラント条件づけ・古典的条件づけ)です。認知療法は学習理論ではなく「認知モデル」(思考→情動→行動の相互作用)に基づいており、特に歪んだ認知構造の修正に着眼します。
5. 自動思考を修正する。
✅ 正しい。認知療法の中核的な技法です。自動思考(Automatic Thoughts)は意識されやすい表面的で反射的な思考であり、セラピストはこれを同定・検証し、より適応的な思考へと修正するプロセスを支援します。ホームワークや思考記録がこのために用いられます。
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【試験対策ポイント】
心理療法の違いを正確に区別することが重要です。以下の比較表を参照:
| 療法 | 開発者 | 焦点 | 主要技法 | 理論背景 |
|---|---|---|---|---|
| 精神分析 | フロイト | 無意識的葛藤 | 夢分析・自由連想 | 深層心理 |
| 行動療法 | ウォルピ他 | 不安反応 | 系統的脱感作・フラッディング | 学習理論 |
| 認知療法 | ベック | 歪んだ思考 | 思考記録・自動思考の修正 | 認知モデル |
| 認知行動療法 | CBT | 思考+行動 | 思考修正+行動実験 | 認知+学習 |
| クライエント中心療法 | ロジャーズ | 自己実現 | 共感・受容・傾聴 | 人間中心 |
**認知療法の流れ**
1. 自動思考の同定(「~と思った」という考え)
2. その証拠を検討(具体的事実の確認)
3. より適応的な思考へ修正(「~と考え直す」)
**試験での紛らわしいポイント**
- 「行動活性化」:認知療法でも使うが、主要技法は思考修正
- 「ホームワーク」:認知療法と認知行動療法の両方で重要
- 「学習理論」:行動療法の基礎(認知療法ではない)