第15回 言語聴覚士国家試験 第132問
生涯発達心理学第15回
Piaget,J.の知能の発達段階論について正しいのはどれか。
- 1.段階の順序は分化によって異なる。
- 2.既有のシェマで対応できない時に調節が生じる。 ✓
- 3.感覚運動的段階と具体的操作段階との二つに分けられる。
- 4.親の価値観への同化が重視される。
- 5.領域一般性より領域固有性を強調する。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 既有のシェマで対応できない時に調節が生じる。
Piaget理論では、既有のシェマ(認知構造)で環境に適応できる場合を「同化」、適応できない矛盾が生じた時に認知構造を修正する過程を「調節」と呼びます。調節によって発達段階が進行していくため、この2番の記述が正確です。
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【各選択肢の解説】
1. 段階の順序は分化によって異なる。
❌ 誤り。Piaget理論では発達段階は「普遍的かつ不変的な順序」が前提であり、感覚運動段階→前操作段階→具体的操作段階→形式的操作段階と必ずこの順序で進行します。個人差があっても順序は変わらないことが特徴です。
2. 既有のシェマで対応できない時に調節が生じる。
✅ 正しい。同化と調節はPiaget理論の中核です。新しい刺激が既有のシェマに合致しない時、その不適合を解決するために認知構造を修正する「調節」が起こり、これが発達を推進します。
3. 感覚運動的段階と具体的操作段階との二つに分けられる。
❌ 誤り。Piaget は知能発達を「4段階」に分けており、感覚運動段階(0~2歳)→前操作段階(2~7歳)→具体的操作段階(7~11歳)→形式的操作段階(11歳以上)です。2段階ではなく4段階が正確です。
4. 親の価値観への同化が重視される。
❌ 誤り。Piaget の同化は「親の価値観への同化」ではなく、環境刺激を既有のシェマに適用する認知過程です。親の価値観の内面化を強調するのは、むしろBandura の社会的学習理論やVygotsky の理論です。
5. 領域一般性より領域固有性を強調する。
❌ 誤り。むしろ逆です。Piaget は発達段階に属する子どもは「知能全般にわたって同じ段階的特徴を示す」と考え、領域一般性(普遍的な認知特性)を強調しました。領域固有性を強調するのはCaseやDomanなどの新Piagetian理論です。
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【試験対策ポイント】
Piaget 発達段階論 主要概念
| 用語 | 意味 | 発達への役割 |
|---|---|---|
| 同化(assimilation) | 新しい刺激を既有のシェマに取り込む | 認知の安定性 |
| 調節(accommodation) | シェマを修正して新しい刺激に適応 | 発達の推進力 |
| 平衡化(equilibration) | 同化と調節の動的バランス | 段階を進める原動力 |
Piaget 4段階の順序(絶対不変)
- 0~2歳:感覚運動段階
- 2~7歳:前操作段階
- 7~11歳:具体的操作段階
- 11歳以上:形式的操作段階
出題の落とし穴
- 「段階が分化する」は個体発生における段階区分の個人差ではなく、一般的には相応する適応水準の多様化を意味するが、Piaget では段階順序そのものは変わらない
- 「同化」と「親の価値観」の混同:Piaget の同化は認知メカニズム(親の価値観は含まれない)
- 「領域固有性」との混同:新Piaget理論(Case や Domain-specific theory)との区別が重要