第15回 言語聴覚士国家試験 第134問
生涯発達心理学第15回
Erikson,E,H.の心理社会的発達段階論について誤っているのはどれか。
- 1.社会集団における期待という視点を含む。
- 2.各発達段階の課題特徴を適応的解決と不適応的解決との両極によって示す。
- 3.8つの発達段階を設定する。
- 4.各発達段階を貫く人生のテーマは自我同一性の獲得である。 ✓
- 5.各発達段階における危機的状況をいかに乗り越えるかに着目する。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 各発達段階を貫く人生のテーマは自我同一性の獲得である。
Eriksonの心理社会的発達段階論では、自我同一性(アイデンティティ)の獲得は青年期(思春期)という特定の段階における課題であり、人生全体を貫くテーマではありません。各段階はそれぞれ異なる心理社会的課題を持ち、8つの段階すべてに共通するテーマが自我同一性の獲得というわけではないため、この選択肢は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 社会集団における期待という視点を含む。
✅ 正しい。Eriksonの理論は心理「社会的」発達段階論と呼ばれ、個人の発達を社会・文化的背景や周囲からの期待との相互作用の中でとらえることが特徴です。
2. 各発達段階の課題特徴を適応的解決と不適応的解決との両極によって示す。
✅ 正しい。Eriksonは各段階を「危機」(両立しない課題の葛藤)として設定し、各段階の課題を対立する2つの方向性で表現しています(例:基本的信頼vs基本的不信)。
3. 8つの発達段階を設定する。
✅ 正しい。Eriksonは乳幼児期から老年期まで人生全体を8つの段階に分けています。
4. 各発達段階を貫く人生のテーマは自我同一性の獲得である。
❌ 誤り。自我同一性(アイデンティティ)の獲得は青年期(思春期)における課題です。人生全体を貫く統一的テーマではなく、各段階がそれぞれ異なる課題を持つというのがEriksonの理論の特徴です。
5. 各発達段階における危機的状況をいかに乗り越えるかに着目する。
✅ 正しい。Eriksonは各段階を「心理社会的危機」(psychosocial crisis)と位置づけ、その危機的状況の乗り越え方が自我発達につながるという観点を強調しています。
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【試験対策ポイント】
Eriksonの8段階と各段階の課題
| 段階 | 年齢 | 課題(両極) |
|---|---|---|
| 1 | 乳児期 | 基本的信頼 vs 基本的不信 |
| 2 | 幼児前期 | 自律性 vs 恥ずかしさ・疑惑 |
| 3 | 幼児後期 | 主体性 vs 罪悪感 |
| 4 | 学童期 | 勤勉性 vs 劣等感 |
| 5 | 青年期 | 同一性 vs 同一性拡散 |
| 6 | 成人前期 | 親密性 vs 孤立 |
| 7 | 成人後期 | 生産性 vs 停滞 |
| 8 | 老年期 | 統合性 vs 絶望 |
重要:自我同一性(同一性)は第5段階青年期のみの課題
紛らわしい選択肢対策
・「自我同一性」が人生全体のテーマと誤解しやすい→実際には青年期の課題の一つ
・各段階が「危機」であるというのは、葛藤状況を意味し、その解決プロセスが発達を促進するという観点