第15回 言語聴覚士国家試験 第151問
言語聴覚障害総論第15回
正しい組み合せはどれか。
a.吃 音 ― 漸次接近法
b.音声障害 ― 遅延聴覚フィードバック法
c.失語症 ― バイオフィードバック法
d.嚥下障害 ― バルーン拡張法
e.運動障害性構音障害 ― タッピング法
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d. 嚥下障害―バルーン拡張法 e. 運動障害性構音障害―タッピング法
嚥下障害に対するバルーン拡張法は咽頭狭窄部の拡張を目的とした治療法であり、運動障害性構音障害のタッピング法は筋緊張亢進を低下させるための方法です。この2つの組み合わせが正しい対応です。
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【各選択肢の解説】
a. 吃音―漸次接近法
❌ 誤り。漸次接近法は失語症(特に喚起困難)の治療手段であり、吃音の治療法ではありません。吃音の治療法には「緩除話法」「拡張スタッタリング療法」などが用いられます。
b. 音声障害―遅延聴覚フィードバック法
❌ 誤り。遅延聴覚フィードバック法(DAF)は主に吃音治療に用いられ、聴覚フィードバックを意図的に遅延させることで流暢性を改善します。音声障害には嗓音訓練や呼吸・共鳴訓練が適用されます。
c. 失語症―バイオフィードバック法
❌ 誤り。バイオフィードバック法は筋緊張や脳波など生理指標を患者に視覚的にフィードバックして自己制御を促す方法で、嚥下障害や運動障害性構音障害(筋緊張異常)に応用されることはありますが、失語症の標準的治療法ではありません。
d. 嚥下障害―バルーン拡張法
✅ 正しい。バルーン拡張法は咽頭狭窄を呈する嚥下障害患者に対し、気管食道炎後遺症などによる狭窄部をバルーンで段階的に拡張する治療法です。嚥下障害に対する有効な物理的治療手段として認識されています。
e. 運動障害性構音障害―タッピング法
✅ 正しい。タッピング法は痙性麻痺による構音障害(錐体路障害)の場合に、筋に対して軽いタッピング刺激を加えることで過緊張を低下させ、構音改善を図る方法です。特に努力性嗄声を伴うBroca失語後の麻痺性構音障害に有効です。
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【試験対策ポイント】
言語聴覚障害別の主要治療・訓練法一覧
| 対象障害 | 治療法・訓練法 | 特徴 |
|---|---|---|
| 吃音 | 緩除話法、DAF、拡張スタッタリング | DAFは「聴覚フィードバック遅延」が要点 |
| 音声障害 | 嗓音訓練、呼吸訓練、共鳴訓練 | 構音訓練とは別 |
| 失語症 | SLT、漸次接近法(喚起困難)、CIAT | 命名困難→漸次接近法 |
| 嚥下障害 | バルーン拡張法、PEG、咽頭頸部マッサージ | 狭窄改善が目標 |
| 運動障害性構音障害 | タッピング法(痙性)、リラクセーション | 筋緊張亢進の低下 |
| 認知障害 | バイオフィードバック、メモリノート | 生理指標や環境調整 |
誤答の理由:a「漸次接近法は失語症」「吃音はDAF」という混同、bは「DAFが音声障害」という誤認識、cは「バイオフィードバックが失語症主治療」という過度な適用が陥りやすいポイント。