STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第15回 言語聴覚士国家試験 第155問

失語症第15回
誤っている組み合せはどれか。
  1. 1.音韻性錯語 ― 「桜」を「さこら」と言う。
  2. 2.意味性錯語 ― 「魚」を「ねこ」と言う。
  3. 3.新造語 ― 「時計」を「せもは」と言う。
  4. 4.迂 言 ― 「犬」を「ドッグ」と言う。 ✓
  5. 5.再帰性発話 ― 目標語に関わらず常に「とのとの」と言う。

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 迂言 ― 「犬」を「ドッグ」と言う。 迂言は「目標とする言葉が出ない時に、それに代わる関連語を使って表現する」ことです。「犬」に対して「ドッグ」と言うのは言語変換(異言語への置き換え)であり、迂言の定義に合致しません。迂言の正しい例は「犬が出ない時に『ワンワンと鳴く動物』と説明する」といった迂回的表現です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 音韻性錯語 ― 「桜」を「さこら」と言う。 ✅ 正しい。音韻性錯語は目標語の音韻を部分的に置き換えた誤りで、「さくら」→「さこら」のように音の一部(「く」→「こ」)が変わります。失語症者に頻見される錯語です。 2. 意味性錯語 ― 「魚」を「ねこ」と言う。 ✅ 正しい。意味性錯語は目標語と意味的に関連した別の語に置き換える錯語です。「魚」と「ねこ」は両者とも「動物」カテゴリーで関連しており、典型的な意味性錯語です。 3. 新造語 ― 「時計」を「せもは」と言う。 ✅ 正しい。新造語は「意味不明な造語」で、目標語との音韻的・意味的関連性が全くない造語です。「時計」→「せもは」は典型的な新造語です。 4. 迂言 ― 「犬」を「ドッグ」と言う。 ❌ 誤り。「ドッグ」は英語への言語変換であり、迂言ではありません。迂言は「目標語が出ない時に、その言葉の属性・機能・関連事項を説明・表現すること」(例:犬→「4本足で吠える動物」)です。この選択肢は迂言の定義を誤解しています。 5. 再帰性発話 ― 目標語に関わらず常に「とのとの」と言う。 ✅ 正しい。再帰性発話(反復発話・常同発話)は、どの質問に対しても同じ言葉を繰り返す現象です。「とのとの」と常に発話するのは典型例です。重症失語症や痴呆で見られます。 --- 【試験対策ポイント】 錯語・異常発話の分類と鑑別 | 現象 | 定義 | 例 | |---|---|---| | 音韻性錯語 | 目標語の音の一部を置き換え | 「さくら」→「さこら」 | | 意味性錯語 | 目標語と意味的に関連した別語に置き換え | 「魚」→「ねこ」(動物カテゴリー) | | 新造語 | 意味不明な造語(関連性なし) | 「時計」→「せもは」 | | 迂言 | 目標語の属性・機能を説明して表現 | 「犬」→「4本足で吠える動物」 | | 言語変換 | 異言語への置き換え | 「犬」→「ドッグ」 | | 再帰性発話 | 内容に関わらず同じ言葉を繰り返す | 常に「とのとの」と言う | | 音読障害 | 実際に発話せず黙読する場合もある | - | キーワード:迂言は「説明的・迂回的」であり、言語変換は「別の言語への置き換え」
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