第15回 言語聴覚士国家試験 第176問
音声障害第15回
音声訓練で正しい組み合せはどれか。
- 1.声帯結節 ― 硬起声発声
- 2.心因性失声症 ― チューブ発声法
- 3.変声障害 ― Kayser-Gutzmann法 ✓
- 4.喉頭麻痺 ― あくび・ため息法
- 5.痙攣性発声障害 ― プッシング法
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 変声障害 — Kayser-Gutzmann法
Kayser-Gutzmann法は変声障害(変声期の音声障害)に対する標準的な音声訓練法です。この方法は患者に自然な音声を引き出すために、咳嗽音や笑い声などの自動発声から随意的な音声へと段階的に移行させる手法で、変声障害の音声改善に特に有効です。
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【各選択肢の解説】
1. 声帯結節 — 硬起声発声
❌ 誤り。声帯結節は声の濫用が原因であることが多いため、逆に「軟起声発声」(吸息性発声)によって声帯への機械的負荷を軽減する訓練が正しいアプローチです。硬起声発声は声帯に強い衝撃を与え、悪化させる可能性があります。
2. 心因性失声症 — チューブ発声法
❌ 誤り。心因性失声症に対しては「チューブ発声法」ではなく「ストロー発声法」が標準的です。ストロー発声法は狭い管を通して発声させることで声帯振動をより効率的にし、発声を促します。チューブ発声法という確立された訓練法は存在しません。
3. 変声障害 — Kayser-Gutzmann法
✅ 正しい。変声障害(男子における思春期の音声変化に伴う障害)に対して、Kayser-Gutzmann法は咳嗽音などの自動発声から自意的音声へ段階的に移行させる標準的訓練法として認識されています。この方法で多くの患者が正常な音声に改善します。
4. 喉頭麻痺 — あくび・ため息法
❌ 誤り。喉頭麻痺(特に反回神経麻痺)に対しては「あくび・ため息法」は適切ではありません。むしろ「プッシング法」や「イメージ訓練」など、発声時の音声改善を目指した訓練が行われます。あくび・ため息法は主に痙攣性発声障害などで用いられます。
5. 痙攣性発声障害 — プッシング法
❌ 誤り。痙攣性発声障害に対する標準的訓練は「あくび・ため息法」です。この方法は喉頭の緊張を緩和し、発声時の過剰筋緊張を軽減します。プッシング法は音量低下を伴う喉頭麻痺の音声改善に用いられ、痙攣性発声障害では逆効果になりやすいです。
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【試験対策ポイント】
音声訓練法と適応疾患の対応表
| 疾患 | 標準的訓練法 | 原理 |
|---|---|---|
| 声帯結節 | 軟起声発声(吸息性発声) | 声帯負荷軽減 |
| 声帯ポリープ | 軟起声発声 | 声帯負荷軽減 |
| 心因性失声症 | ストロー発声法 | 声帯振動効率化 |
| 変声障害 | Kayser-Gutzmann法 | 自動→随意発声への段階移行 |
| 痙攣性発声障害 | あくび・ため息法 | 喉頭緊張緩和 |
| 喉頭麻痺(一側) | プッシング法、イメージ訓練 | 音量改善・音声改善 |
| 失調性構音障害 | リズム訓練 | 呼吸・発声調整 |
重要否定知識
- プッシング法は喉頭麻痺に対するもの(痙攣性発声障害ではない)
- あくび・ため息法は喉頭麻痺には使用しない