STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第15回 言語聴覚士国家試験 第191問

小児聴覚障害第15回
聴覚障害幼児のコミュニケーション法で音韻意識と形成に寄与しないのはどれか。
  1. 1.手話 ✓
  2. 2.音声
  3. 3.指文字
  4. 4.かな文字
  5. 5.キューサイン

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 手話 手話は視覚を中心とした記号体系であり、音の成り立ちを理解させるプロセスが含まれていません。音韻意識(音の認識・操作)と音韻形成は、「音響情報の処理」と「発話機構の発達」に基づくため、音声・聴覚フィードバックを必要とします。手話は聴覚に依存せずコミュニケーション可能ですが、音韻体系の発達には直接寄与しません。 --- 【各選択肢の解説】 1. 手話 ❌ 誤り。手話は空間的・身体的な視覚記号であり、音韻情報を扱いません。聴覚障害児のコミュニケーション手段として重要ですが、音韻意識(音素の分離・結合・操作)の形成には寄与しないため、本問の正答です。 2. 音声 ✅ 正しい。聴覚障害児であっても、補聴器や人工内耳を使用して音声を知覚した場合、音素の認識・模倣・発話によって音韻体系が形成されます。音韻意識発達の基盤となります。 3. 指文字 ✅ 正しい。指文字は1文字が音韻単位に対応しており、かな文字と同様に音韻表記体系です。音素と文字(指)の対応を学習する過程で音韻意識が発達します。 4. かな文字 ✅ 正しい。かな文字(特にひらがな)は表音文字であり、1文字が音節に対応しています。文字学習を通じて音韻の分析的認識が促進され、音韻意識の形成に寄与します。 5. キューサイン ✅ 正しい。キューサインは、音声言語と視覚的手指信号を組み合わせた方式です。音声に同期させた視覚情報により、音韻と視覚パターンの対応が形成され、音韻意識発達を支援します。 --- 【試験対策ポイント】 | コミュニケーション法 | 音韻意識への寄与 | 理由 | |---|---|---| | 手話 | ❌ 寄与しない | 視覚記号。音韻情報を含まない | | 音声 | ✅ 寄与 | 聴覚的音響情報を直接処理 | | 指文字 | ✅ 寄与 | 音素単位の表記体系 | | かな文字 | ✅ 寄与 | 表音文字による音韻表記 | | キューサイン | ✅ 寄与 | 音声と視覚信号の同期 | 【キーワード】 - 音韻意識:音の最小単位(音素)を認識・操作する能力。「音は成分に分割できる」という気づき - 表音文字:1文字が音単位に対応(かな・ローマ字・指文字) - 表意文字:意味を直接表現する文字(漢字)→音韻意識形成には直結しない - 聴覚障害児の識字発達:視覚的音韻表記(かな)> 音響情報なしの視覚記号(手話) 【紛らわしい理由】 聴覚障害児教育において「手話は重要なコミュニケーション手段」という事実と、「音韻意識形成への寄与」は別の軸です。本問は後者を問うています。手話の使用により全体的な言語発達が促進される側面もありますが、「音のしくみの理解」という音韻意識に限定すれば、視覚記号である手話は直接的な寄与をしません。
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