第15回 言語聴覚士国家試験 第21問
第15回 言語聴覚士国家試験 第21問(聴覚系)の正答は 3 です。両耳に届く音の時間差(両耳間時間差)と強度差を最初に統合するのは、脳幹の上オリーブ核である。
- 1.音の大きさの感覚は音の周波数と関係しない。
- 2.中耳伝音系によって音エネルギーが付加される。
- 3.音の左右時間差に関与する最下位の中枢は上オリーブ核である。 ✓
- 4.内耳性難聴の特徴として一過性閾値上昇がある。
- 5.内耳有毛細胞の働きが基底板の鋭い周波数特性をもたらしている。
正答:3番
初回正答率 27.1%難問
207人の初回解答から算出(2026年10月21日時点)
同じ利用者の2回目以降の解答は除外しています(再挑戦を含めると正答率は実力より高く出るため)。国家試験の公式発表値ではなく、STカコモンで実際に解かれた記録にもとづく数値です。
両耳に届く音の時間差(両耳間時間差)と強度差を最初に統合するのは、脳幹の上オリーブ核である。両耳の入力が初めて合流する場所で、音源定位の基礎になる。
【各選択肢の解説】
❌ 誤り。同じ音圧でも周波数で大きさの感じ方が変わる(等ラウドネス曲線・ISO 226)。正しくは音の大きさの感覚は周波数と関係する。
❌ 誤り。中耳は鼓膜と耳小骨の面積比・てこ比で音圧を高め、空気と内耳液のインピーダンスを整合させるが、エネルギーを加えるわけではない。正しくは中耳は伝達の効率を高める。
✅ 正しい(=正答)。両耳の入力が最初に合流する核である。
❌ 誤り。一過性閾値上昇は強大音にさらされた後に健常耳にも起こる一時的な閾値の上昇で、内耳性難聴を見分ける特徴ではない。正しくは内耳性難聴の特徴は補充現象である。
❌ 誤り(公式正答は3のみ)。出題の立場では、基底板の周波数特性は基底板の幅と硬さの勾配(機械的性質・進行波)で決まるとして、この肢を誤りとしている。ただし外有毛細胞の電気運動性(Brownell 1985)や生体の基底板の鋭い同調の測定(Ruggero ら 1997)は出題(第15回・2013年)より前から知られており、現在の知見では外有毛細胞の能動運動(蝸牛増幅器)が基底板の鋭い同調をもたらすため、この記述も正しいと読める。正しくは出題の立場では、周波数の場所の振り分けは基底板の機械的性質による。
【出題当時と現在】
これは時代による変化ではなく、出題の立場と知見の食い違いである。公式正答は3のみで、出題は古典的な進行波説(Békésy)の立場から選択肢5を誤りとしたが、外有毛細胞の能動運動が鋭い周波数選択性と感度をもたらすことは出題の時点ですでに知られていた(Brownell 1985・Ruggero ら 1997)。同じことを今の国試で問われたら、外有毛細胞が基底板の鋭い周波数選択性をもたらす、を正しいと答える。
【試験対策ポイント】
両耳間時間差・強度差を統合する最下位中枢=上オリーブ核。中耳は面積比・てこ比でインピーダンスを整合して伝達効率を高める(エネルギー付加ではない)。内耳性難聴の特徴=補充現象。基底板の大まかな場所の振り分けは機械的性質、鋭い周波数選択性は外有毛細胞の能動運動(蝸牛増幅器)。
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