第15回 言語聴覚士国家試験 第24問
臨床神経学第15回
アルツハイマー病の初期にみられるMRI所見はどれか。
- 1.小脳の萎縮
- 2.脳幹の萎縮
- 3.海馬の萎縮 ✓
- 4.前頭葉の浮腫
- 5.大脳白質の異常信号
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 海馬の萎縮
アルツハイマー病の初期段階で最も特徴的なMRI所見は海馬の萎縮です。海馬は記憶形成に重要な役割を担う領域であり、アルツハイマー病の病理変化(アミロイドβタウタンパク質の蓄積)が最初に起こる場所です。そのため、認知機能低下が顕在化する前からMRI上に萎縮が検出される唯一の信頼性の高い初期所見です。
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【各選択肢の解説】
1. 小脳の萎縮
❌ 誤り。小脳の萎縮はアルツハイマー病の特徴的所見ではありません。むしろ小脳萎縮は脊髄小脳変性症(SCA)など他の神経変性疾患で認められます。アルツハイマー病では大脳皮質の萎縮が進行性に起こりますが、小脳は相対的に保たれる傾向があります。
2. 脳幹の萎縮
❌ 誤り。脳幹の萎縮はアルツハイマー病の初期所見ではありません。脳幹萎縮は進行性核上麻痺(PSP)やパーキンソン病など、パーキンソニズムを呈する神経変性疾患で特徴的です。アルツハイマー病では脳幹は比較的長く保たれます。
3. 海馬の萎縮
✅ 正しい。海馬はアルツハイマー病の神経病理学的変化(神経原線維変化とアミロイドプラークの沈着)が最初に顕著に起こる領域です。初期段階では海馬の体積減少がMRIで定量的に検出でき、認知機能低下と相関します。軽度認知機能障害(MCI)やアルツハイマー病の初期診断において重要な指標となります。
4. 前頭葉の浮腫
❌ 誤り。アルツハイマー病では浮腫(脳浮腫)は認められません。むしろ進行に伴い脳全体が萎縮し脳室拡大を呈します。浮腫はアルツハイマー病の急性転機(急性期脳梗塞・脳出血・脳炎など)では起こらず、慢性進行性の神経変性疾患であるアルツハイマー病では見られない所見です。
5. 大脳白質の異常信号
❌ 誤り。大脳白質の異常信号(T2/FLAIR高信号)はアルツハイマー病の初期所見ではありません。白質変化は血管性認知症や小血管病に特徴的です。アルツハイマー病では灰白質(特に海馬・側頭葉内側・皮質)の萎縮が主であり、白質変化は軽度かつ非特異的です。
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【試験対策ポイント】
アルツハイマー病のMRI所見進行パターン:
| 時期 | 主な所見 | 検出可能性 |
|---|---|---|
| **初期(MCI段階)** | 海馬の萎縮 | 高い(早期診断可能) |
| **早期** | 側頭葉内側の萎縮 | 明らかになる |
| **中期** | 側頭頭頂葉の萎縮 | 進行性 |
| **晩期** | 広範な脳萎縮・脳室拡大 | 著明 |
重要な否定知識:
- 海馬外の初期変化は信頼性に欠ける
- MRIで浮腫が見られたらアルツハイマー病ではなく急性疾患を疑う
- 小脳・脳幹の萎縮は他の神経変性疾患の特徴(PSP・