STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第15回 言語聴覚士国家試験 第31問

精神医学第15回
神経性無食欲症について正しいのはどれか。
  1. 1.不安障害の一つである。
  2. 2.女性より男性に多い。
  3. 3.薬物療法は無効である。
  4. 4.家族関係は良好に保たれる。
  5. 5.自尊感情が低く、うつ状態を伴う。 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 自尊感情が低く、うつ状態を伴う。 神経性無食欲症は摂食障害の中核疾患であり、極端な食事制限による著しい体重減少を特徴とします。患者は体重増加への強い恐怖心と歪んだ身体像を持ち、これらは自尊感情の低さ、完璧主義、そして続発性のうつ状態と密接に関連しています。自尊感情の低下とうつ症状は本疾患の頻出する心理的特徴です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 不安障害の一つである。 ❌ 誤り。神経性無食欲症は不安障害ではなく、精神疾患の分類では「摂食障害」に分類されます。不安障害の類には社交不安障害、パニック障害、全般性不安障害などが含まれ、摂食障害とは異なるカテゴリーです。 2. 女性より男性に多い。 ❌ 誤り。神経性無食欲症は圧倒的に女性(特に10~30代)に多く発症します。男性患者は全体の5~10%程度に過ぎません。この性差は摂食障害全般で認められる特徴です。 3. 薬物療法は無効である。 ❌ 誤り。薬物療法が完全に無効というわけではありません。SSRIなどの抗うつ薬は伴随するうつ症状や不安症状の軽減に有効であり、栄養状態が改善してから投与効果が顕著になることが多いです。ただし、本疾患の根本的治療は心理療法と栄養回復が中心です。 4. 家族関係は良好に保たれる。 ❌ 誤り。神経性無食欲症患者の多くは家族関係の葛藤や不和を背景に抱えています。親子間の過度な支配・被支配関係、完璧主義的な家族風土、期待へのプレッシャーなどが発症要因として指摘されており、家族関係が良好とは限りません。むしろ家族療法が治療の重要な要素です。 5. 自尊感情が低く、うつ状態を伴う。 ✅ 正しい。神経性無食欲症患者の典型的な心理特性です。自尊感情の低さは痩せることへの強迫的追求につながり、同時に栄養不良に伴う脳機能低下によって続発性のうつ状態が生じます。うつ症状(気分の落ち込み、無関心、睡眠障害など)は患者の約50~80%に認められます。 --- 【試験対策ポイント】 摂食障害の分類と特徴 | 項目 | 神経性無食欲症 | 神経性過食症 | |---|---|---| | 体重 | 著しく低い | 通常~増加 | | 過食嘔吐 | なし(制限型) or あり(過食/排出型) | あり(常) | | 死亡率 | 5~10%(高い) | 低い | | 男女比 | 女性>男性(約9:1) | 女性>男性(約9:1) | 神経性無食欲症の心理社会的特徴 - 自尊感情が低い:完璧主義、自己評価が体重に依存 - うつ状態:50~80%に伴う(栄養不良が悪化要因) - 不安症状:強迫的思考、社会不安 - 家族葛藤:多くの患者が抱える背景要因 治療の中心 - 心理療法(認知行動療法・対人関係療法) - 栄養回復と体重管理(入院治療が必要な場合あり) - 家族療法(家族関係の改善) -
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