STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第129問

精神医学第28回
DSM-5-TR におけるうつ病の症状として誤っているのはどれか。
  1. 1.疲労感または気力の減退
  2. 2.不眠または過眠
  3. 3.精神運動興奮または精神運動制止
  4. 4.思考力や集中力の減退
  5. 5.躁または軽躁エピソード ✓

正答:5番

解説
# 第28回 第129問 解説 ■ 正答:5番 — 躁または軽躁エピソード DSM-5-TRにおけるうつ病性障害(大うつ病性障害)の診断基準には、気分の低下や興味・喜びの喪失に加えて、設問の1〜4のような神経生物学的・認知的・身体的症状が含まれます。一方、「躁または軽躁エピソード」はうつ病性障害の症状ではなく、むしろ**双極性障害(I型またはII型)**の診断に関連する症状であり、うつ病との鑑別点になります。 --- 【各選択肢の解説】 1. 疲労感または気力の減退 ✅ 正しい。DSM-5-TRの大うつ病性障害の診断基準に明確に含まれる症状。日常の活動をこなす意欲や身体のエネルギーが低下する。 2. 不眠または過眠 ✅ 正しい。睡眠のお困りの典型的な症状。入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒(不眠)、またはその反対に過剰な睡眠をとる(過眠)いずれもうつ病で認められます。 3. 精神運動興奮または精神運動制止 ✅ 正しい。精神運動制止(動作の鈍化・反応の遅延)はうつ病に典型的です。稀に精神運動興奮(落ち着きのなさ・いらいら)が前景に出ることもあります。 4. 思考力や集中力の減退 ✅ 正しい。認知機能の低下はうつ病の核となる症状の1つ。「脳が働かない」「決定が下せない」という訴えが多い。 5. 躁または軽躁エピソード ❌ 誤り。これはうつ病性障害の診断基準に**含まれない**。むしろ、躁エピソードの既往がある場合は「双極性障害I型」、軽躁エピソード+大うつ病エピソードの既往がある場合は「双極性障害II型」と診断され、うつ病とは区別されます。 --- 【試験対策ポイント】 **DSM-5-TRの大うつ病性障害の診断基準(主要な9項目から5項目以上が2週間以上続く必要がある)**: | 症状カテゴリ | 具体的症状 | |---|---| | **気分と動機付け** | 気分の低下 / 興味・喜びの喪失(快感欠如)| | **エネルギー・活動性** | 疲労感 / 気力の減退 / 精神運動制止または興奮 | | **睡眠** | 不眠(入眠/中途/早朝覚醒) / 過眠 | | **認知機能** | 思考力/集中力/決定力の減退 | | **自己評価** | 無価値感 / 過度な罪悪感 | | **生命危機** | 死や自殺への反復的思考 / 自殺企図 | | **食欲** | 食欲減退 / 体重減少(または増加) | **双極性障害との鑑別ポイント**: - **双極性障害I型**:躁エピソード+大うつ病エピソード - **双極性障害II型**:軽躁エピソード+大うつ病エピソード - **重大な鑑別**:躁症状の有無が診断を決定する。躁症状があれば双極性→うつ病ではない **臨床での注意**: - うつ病患者にSSRI/SNRIを投与した際、稀に躁スイッチ(躁転現象)が生じることがあり、後に双極性障害が診断される場合がある -
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