第15回 言語聴覚士国家試験 第41問
音響学第15回
「さざんか(山茶花)」の「さ」と「ざ」との子音の音響的違いはどれか。
- 1.無声区間の有無
- 2.摩擦区間の有無
- 3.線スペクトル構造の有無 ✓
- 4.ホルマントの有無
- 5.アンチホルマントの有無
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 線スペクトル構造の有無
「さ」(無声摩擦音)は周波数全体にわたる連続的なスペクトル(白色ノイズ的)を持つのに対し、「ざ」(有声摩擦音)は声帯振動による周期的な線スペクトル構造を持ちます。この音響特性の根本的な違いが、両者を区別する最大のポイントです。
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【各選択肢の解説】
1. 無声区間の有無
❌ 誤り。「さ」は完全な無声音で無声区間を持ちますが、「ざ」は有声摩擦音でありながら、摩擦時に声帯が同時に振動しているため、厳密には「無声区間」という表現は不適切です。両音を区別する指標としては不正確です。
2. 摩擦区間の有無
❌ 誤り。「さ」も「ざ」も摩擦音であり、どちらも狭い調音点での摩擦による音響エネルギーを持つため、摩擦区間は両者に存在します。この項目では両者の違いを説明できません。
3. 線スペクトル構造の有無
✅ 正しい。「さ」(無声摩擦音)は声帯振動がないため、スペクトログラム上は連続的で非周期的なノイズスペクトルを示します。一方「ざ」(有声摩擦音)は声帯が振動しながら摩擦を伴うため、周期的な線スペクトル構造(ハーモニック構造)が明確に見えます。これが音響的な最大の違いです。
4. ホルマントの有無
❌ 誤り。「ざ」には声帯振動の影響を受けた共鳴特性として、ホルマント構造が存在します。ただし「さ」にも、声道の形状に基づく周波数特性は存在するため、「有無」で区別することは厳密ではありません。また、ホルマントは摩擦音では明確でないため、主要な区別指標ではありません。
5. アンチホルマントの有無
❌ 誤り。アンチホルマントは声道内での干渉により、特定周波数が減衰する現象で、摩擦音の音響特性を記述する際には「有無」で区別される重要な概念ではありません。また、両音の基本的な音響的違いを説明するには間接的すぎます。
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【試験対策ポイント】
| 項目 | さ(無声摩擦音) | ざ(有声摩擦音) |
|---|---|---|
| 声帯振動 | なし | あり |
| スペクトル構造 | 連続的・非周期的 | 線スペクトル(周期的) |
| スペクトログラム | 連続濃淡 | 縦線明確に見える |
| 周波数帯域 | 高周波域(3000Hz以上) | 同じく高周波だが線構造が異なる |
「無声摩擦音 vs 有声摩擦音」の識別には、スペクトログラム上で「線スペクトル構造が見えるか見えないか」が決定的に重要です。有声音は常に周期性を持つため、線スペクトル(ハーモニック)が観察されます。