STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第15回 言語聴覚士国家試験 第53問

心理測定法第15回
正しいのはどれか。 a.折半法は信頼性を検証する方法である。 b.観察による評定が甘くなる傾向は天井効果と呼ばれる。 c.横断的研究では一定の研究対象者を継続的に追跡する。 d.過去の状況を現在の実態と関連づける研究は前方視研究である。 e.妥当性とは、尺度が測るべき概念を正しく測ることである。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,e 折半法は検査の前半と後半の相関を求めることで内的一貫性を検証する信頼性の方法であり、妥当性とは尺度が測定意図の概念を正しく測っているかを示す心理測定の基本概念です。これら2つは心理測定法における最も基本的で重要な用語の定義です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 折半法は信頼性を検証する方法である。 ✅ 正しい。折半法(split-half method)は検査を前半と後半に分割し、その得点相関係数を求めることで内的一貫性(内的信頼性)を検証する古典的な方法です。Spearman-Brown公式を用いて修正されることもあります。 b. 観察による評定が甘くなる傾向は天井効果と呼ばれる。 ❌ 誤り。観察による評定が甘くなる傾向は「寛大化傾向」「ハロー効果」「論理的誤差」などと呼ばれます。天井効果(ceiling effect)は得点の分布が上限値に集中する統計的現象で、評定者の主観的偏りではなく測定スケールの問題です。 c. 横断的研究では一定の研究対象者を継続的に追跡する。 ❌ 誤り。横断的研究(cross-sectional study)は異なる集団を同一時点で調査する方法です。一定対象者を継続的に追跡するのは「縦断的研究」(longitudinal study)です。 d. 過去の状況を現在の実態と関連づける研究は前方視研究である。 ❌ 誤り。過去から現在へさかのぼって関連を検討するのは「後方視研究」(retrospective study)です。前方視研究(prospective study)は現在から将来へ対象者を追跡し、結果を測定します。 e. 妥当性とは、尺度が測るべき概念を正しく測ることである。 ✅ 正しい。妥当性(validity)は「測定したいと考えている概念をどの程度正しく測定できているか」を示す心理測定の最重要指標です。内容妥当性・基準関連妥当性・構成概念妥当性などの種類があります。 --- 【試験対策ポイント】 信頼性と妥当性の区別: | 概念 | 定義 | 検証方法 | 意味 | |---|---|---|---| | 信頼性 | 測定の安定性・一貫性 | 折半法・再検査法・代替形式法 | 同じものを何度測定しても同じ結果 | | 妥当性 | 測定意図の正確さ | 専門家評価・外的基準との相関 | 本来測りたいものを測っている | 心理測定の一般的誤解: | 誤った用語 | 正しい用語 | 説明 | |---|---|---| | 天井効果=評定が甘い | 寛大化傾向 | 天井効果は統計的現象、寛大化は評定者バイアス | | 横断研究=追跡調査 | 縦断研究 | 横断=同時点多集団、縦断=同一集団継続 | | 後方視研究=前方視研究 | 後方視研究 | 過去→現在は後方視、現在→将来は前方視 | よくある誤りパターン: - b選択肢:「天井効果」「床効果」の定義を評定者バイアスと混同する受験生が多い - c選択肢:「横断」と「縦断」の方向性を逆に記憶している - d選択肢:「前方視」「後方視」の時間軸方向を逆に理解している
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