第15回 言語聴覚士国家試験 第55問
失語症第15回
前大脳動脈閉塞症で起こるのはどれか。
- 1.ブローカ失語
- 2.伝導失語
- 3.混合型超皮質性失語
- 4.ウェルニッケ失語
- 5.超皮質性運動失語 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 超皮質性運動失語
前大脳動脈(ACA)閉塞により、ブローカ野周囲の皮質下白質(運動補足野など)の血流が途絶えます。ブローカ野自体は中大脳動脈(MCA)領域であるため、Broca失語ではなく、運動補足野を含む皮質下損傷による超皮質性運動失語が生じます。この患者は「非流暢な発話」を示しながら「復唱は保持」される特徴的な神経言語学的パターンを呈します。
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【各選択肢の解説】
1. ブローカ失語
❌ 誤り。Broca失語を引き起こすのはブローカ野(下前頭回後部)の損傷で、中大脳動脈(MCA)の領域です。前大脳動脈領域ではありません。
2. 伝導失語
❌ 誤り。伝導失語は弓状束(Arcuate fasciculus)などの連合線維の損傷で生じ、ACA領域での発生はまれです。MCA領域の損傷でも生じやすい病変です。
3. 混合型超皮質性失語
❌ 誤り。混合型超皮質性失語は運動補足野と頭頂側頭葉の両域が広範囲に障害された場合に生じます。ACA単独閉塞では両領域を完全に損傷することはありません。
4. ウェルニッケ失語
❌ 誤り。Wernicke失語を引き起こすのはウェルニッケ野(上側頭回後部)の損傷で、中大脳動脈(MCA)後方領域です。前大脳動脈領域ではありません。
5. 超皮質性運動失語
✅ 正しい。前大脳動脈は運動補足野(Supplementary Motor Area)を含む領域に血流を供給します。この領域の損傷により、ブローカ野や復唱回路は保持されるが、発話の開始・遂行が障害され、非流暢性・復唱保持という特徴的なパターンが生じます。
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【試験対策ポイント】
血管領域と失語症タイプの対応関係:
| 失語症タイプ | 主な損傷部位 | 責任血管 | 流暢性 | 理解 | 復唱 |
|---|---|---|---|---|---|
| Broca失語 | 下前頭回後部 | MCA上分枝 | 非流暢 | 良好 | 不良 |
| Wernicke失語 | 上側頭回後部 | MCA下分枝 | 流暢 | 不良 | 不良 |
| 伝導失語 | 弓状束・頭頂葉 | MCA | 流暢 | 良好 | 著しく不良 |
| 超皮質性運動失語 | 運動補足野・皮質下 | **ACA** | 非流暢 | 良好 | 良好 |
| 超皮質性感覚失語 | 頭頂側頭葉皮質下 | ACA・PCA境界 | 流暢 | 不良 | 良好 |
| 全失語 | ブローカ野+ウェルニッケ野 | MCA広範 | 非流暢 | 不良 | 不良 |
重要区別ポイント:
- 「復唱保持+非流暢」→超皮質性運動失語(ACA領域)
- 「復唱不良+非流暢+理解良好」→Broca失語(MCA領域)
- 復唱の有無がACA vs MCA領域を区別する最大のキーワード
- ACA領域損傷では「initiation(開始)」障害が本態