第15回 言語聴覚士国家試験 第72問
臨床心理学第15回
正しい組み合せはどれか。
- 1.モデリング ― 子どものことばを養育者が模倣
- 2.カウンセリング ― 否定的態度
- 3.PECS ― 身振り動作
- 4.ワークシステム ― 構造化 ✓
- 5.リフレクティング ― 子どものことばを文法的に拡大
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — ワークシステム ― 構造化
ワークシステムは自閉症スペクトラム障害(ASD)の構造化支援の代表的な手法で、物理的環境・スケジュール・タスク・チェック機構を整備することで、視覚的な予測可能性と自律性を高めます。構造化こそがワークシステムの本質です。
---
【各選択肢の解説】
1. モデリング ― 子どものことばを養育者が模倣
❌ 誤り。モデリングは「養育者が適切な行動を示して、子どもが模倣する」という学習過程を指します。選択肢は逆向きです。正しくは「養育者が示した行動を子どもが模倣する」ことが本質です。
2. カウンセリング ― 否定的態度
❌ 誤り。カウンセリングでは受け入れ的・肯定的態度が基本です。Rogers(ロジャーズ)の「無条件の肯定的関心」が原則で、カウンセラーが否定的態度をとることは専門的基準に反します。むしろ共感的理解と肯定的態度が求められます。
3. PECS ― 身振り動作
❌ 誤り。PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)は「絵カードを用いた視覚的シンボル」が手段です。身振り動作ではなく、具体的な絵や記号を使用して意思伝達を支援します。
4. ワークシステム ― 構造化
✅ 正しい。ワークシステムはTeacch(自閉症児教育促進協会)プログラムの中核で、物理的空間や時間を視覚的に構造化し、課題の開始・終了・次の活動が明確になるよう環境を整備します。構造化を通じて自閉症児の学習効率と自律性を向上させます。
5. リフレクティング ― 子どものことばを文法的に拡大
❌ 誤り。リフレクティング(反映)は子どもの言語やことばをそのまま返す技法です。「文法的に拡大する」のはエクスパンション(拡張)という別の技法で混同しやすい誤りです。リフレクティングは子どもの表現を肯定的に確認することが目的です。
---
【試験対策ポイント】
紛らわしい言語発達支援技法の区別
| 技法 | 説明 | 目的 |
|---|---|---|
| モデリング | 養育者が示した行動を子どもが模倣 | 行動獲得 |
| リフレクティング | 子どものことばをそのまま返す | 共感・確認 |
| エクスパンション | 子どものことばを文法的に拡大 | 文法構造の提示 |
| リキャスティング | 子どものことばを異なる文法で言い直す | 語法改善 |
心理療法・支援技法の基本姿勢
| 技法 | キーワード |
|---|---|
| カウンセリング | 肯定的態度・無条件の関心・共感的理解 |
| PECS | 絵カード・視覚的シンボル・AAC |
| ワークシステム | 構造化・環境設定・自律性向上・Teacch |
重要な否定知識
・カウンセリングは「治療」「助言」ではなく、クライアント中心で自己決定を支援
・PECS≠身振り(身振りはジェスチャー、PECSは具体物・絵・記号)
・モデリングの流れは「大人が示す→子どもが見る→子どもが模倣」の順序