STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第15回 言語聴覚士国家試験 第74問

言語発達障害学第15回
前言語期の言語発達障害児の保護者への助言で適切なのはどれか。 a.登園カバンを見せて行き先を予告する。 b.牛乳パックを見せて子どもにコップを取ってこさせる。 c.色名の理解を促す。 d.成人語音声の模倣を促す。 e.身振りの理解と表現を促す。 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,b,e 前言語期(生後0~1歳程度、初語出現前)の言語発達障害児への支援は、言語そのものよりも「コミュニケーション意図の形成」「物と名前の結びつき」「身振りなどの非言語的なコミュニケーション手段」に焦点を当てるべきです。この時期は認知発達が急速に進む重要な段階であり、保護者が日常生活の具体的な場面で行える働きかけが最も効果的です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 登園カバンを見せて行き先を予告する。 ✅ 適切です。物(カバン)を手がかりに行動予定を理解させることで、思考や理解の発達を促進します。前言語期から出来る重要な認知的働きかけです。 b. 牛乳パックを見せて子どもにコップを取ってこさせる。 ✅ 適切です。物を見せることで「コップ」という言葉を理解させ、指示理解と物の認識を促進します。また、子どもの指示受容能力と行動の関連付けを支援します。 c. 色名の理解を促す。 ❌ 不適切です。色名理解は抽象的な語彙学習であり、前言語期には時期尚早です。この時期は色名よりも「動作語」「物質名」など具体的で機能的な語の理解を優先すべきです。 d. 成人語音声の模倣を促す。 ❌ 不適切です。成人語音(「わんわん」「ママ」など)の模倣は初語出現期(約1歳前後)以降の適応です。前言語期は喃語(「ばぶばぶ」など)の段階であり、成人語を無理に促すことは逆効果になる可能性があります。 e. 身振りの理解と表現を促す。 ✅ 適切です。前言語期から身振り(バイバイ、頷く、首振るなど)の理解と表現は発達します。これは非言語的コミュニケーションの基礎となり、後の言語発達を支えるため極めて重要です。 --- 【試験対策ポイント】 発達段階と支援内容の対応関係 | 発達段階 | 時期 | 優先支援内容 | 不適切な支援 | |---|---|---|---| | 前言語期 | 0~12ヶ月 | 物と名前の結びつけ、身振り、指示受容、認知的働きかけ | 成人語音の模倣、色名などの抽象語 | | 初語期 | 12~18ヶ月 | 語彙拡大、初語の促進、指差し | 複文、複雑な文法 | | 語彙爆発期 | 18~24ヶ月 | 物質名と動作語、2語文への移行 | 音韻完成度の強制 | 前言語期に行うべき保護者指導の3本柱 - 日常の具体的場面での働きかけ(登園カバン、食事の物など) - 物と名前の結びつけ(指差しを促す) - 身振り・指差し・指示受容など非言語コミュニケーション 誤りやすいポイント - 「音」の発達に焦点を当てがち(成人語音の模倣)→前言語期では喃語が正常 - 「語彙」の量を重視(色名など)→前言語期では「理解」優先、特に物質名・動作語
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