第15回 言語聴覚士国家試験 第77問
音声障害第15回
無喉頭音声について誤っているのはどれか。
- 1.電気式人工喉頭は抑揚をつけやすい。 ✓
- 2.笛式人工喉頭では肺からの呼気を用いる。
- 3.食道発声では上部食道に取り込んだ空気を用いる。
- 4.気管食道瘻発声のときには気管孔を閉鎖する。
- 5.気管食道瘻発声の音源は新声門である。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 電気式人工喉頭は抑揚をつけやすい。
電気式人工喉頭は振動数が固定されており、調整機能が限定的なため、抑揚(ピッチ変化)をつけることは困難です。むしろ単調な音声になるのが特徴で、これは笛式人工喉頭よりも劣る点です。選択肢2~5は全て無喉頭音声の各方法について正しく述べています。
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【各選択肢の解説】
1. 電気式人工喉頭は抑揚をつけやすい。
❌ 誤り。電気式人工喉頭は振動数が固定されているため、抑揚(ピッチ変化)をつけにくく、音声は単調になります。笛式人工喉頭の方が肺からの呼気圧で振動数を変化させられるため、相対的に抑揚がつけやすいです。
2. 笛式人工喉頭では肺からの呼気を用いる。
✅ 正しい。笛式人工喉頭は音源となる笛が肺からの呼気で振動し、その音を口内で共鳴させて音声を形成します。呼気圧の変化で振動数も変わるため、抑揚をつけやすいという利点があります。
3. 食道発声では上部食道に取り込んだ空気を用いる。
✅ 正しい。食道発声では、意図的に上部食道(咽頭食道接合部)に空気を取り込み、その空気を食道から咽頭へ放出するときに新声門(咽頭食道接合部の粘膜組織)を振動させて音源とします。
4. 気管食道瘻発声のときには気管孔を閉鎖する。
✅ 正しい。気管食道瘻発声では、気管孔を指で閉鎖することにより、肺からの呼気を気管食道瘻を通じて食道へ導き、新声門を振動させます。気管孔を開いたままでは呼気が逃げてしまい発声できません。
5. 気管食道瘻発声の音源は新声門である。
✅ 正しい。気管食道瘻発声において、呼気によって振動する咽頭食道接合部の粘膜組織(新声門)が音源となり、その音を口腔内で共鳴させて言葉として発話します。
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【試験対策ポイント】
無喉頭音声の4つの方法と特徴:
| 方法 | 音源 | 呼気源 | 抑揚 | 習得難易度 |
|---|---|---|---|---|
| 電気式人工喉頭 | 電動振動 | 不要 | つけにくい(固定) | 最も簡単 |
| 笛式人工喉頭 | 笛の振動 | 肺からの呼気 | つけやすい | 簡単 |
| 食道発声 | 新声門 | 食道に取込んだ空気 | つけやすい | 最も難しい |
| 気管食道瘻発声 | 新声門 | 肺からの呼気 | つけやすい | 難しい |
頻出の誤答パターン:
- 電気式人工喉頭の「音質の単調さ」を忘れやすい(抑揚を気軽につけられないのが欠点)
- 笛式と気管食道瘻発声を混同しやすい(両者とも呼気源は異なるが、笛式は肺呼気を音源に、気管食道瘻は食道へ導く)
- 「気管孔を閉鎖する」理由:呼気を食道へ導くため(気管孔が開いていると呼気が音源に届かない)