第15回 言語聴覚士国家試験 第87問
嚥下障害第15回
永久気管孔を必要とする嚥下障害の手術はどれか。
a.喉頭挙上術
b.輪状咽頭筋切断術
c.甲状軟骨形成術
d.気管食道吻合術
e.喉頭気管分離術
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d.気管食道吻合術、e.喉頭気管分離術
永久気管孔を必要とする嚥下障害手術とは、喉頭を失うか機能を完全に廃絶する手術です。気管食道吻合術と喉頭気管分離術はいずれも嚥下時に気道を遮断できないため、誤嚥防止の代償として食事が気管へ流入しないよう永久気管孔が必須となります。
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【各選択肢の解説】
a.喉頭挙上術
❌ 誤り。喉頭を上方に牽引して食道に接近させ、咽頭反射を利用して誤嚥を防ぐ手術です。喉頭は温存され機能も残存するため、永久気管孔は不要です。
b.輪状咽頭筋切断術(Cricopharyngeal myotomy)
❌ 誤り。嚥下時に過度に緊張した輪状咽頭筋を切離し、咽頭から食道への通過を改善する手術です。喉頭機能は温存されるため、永久気管孔は不要です。
c.甲状軟骨形成術
❌ 誤り。声帯の位置や張力を調整して音声を改善する音声外科手術です。喉頭機能は保持されるため、永久気管孔は不要です。
d.気管食道吻合術
✅ 正しい。重度の誤嚥患者に対し、食道と気管を直接吻合し、喉頭を迂回させる手術です。喉頭を機能的に廃絶するため、永久気管孔によって呼吸を確保する必要があります。
e.喉頭気管分離術
✅ 正しい。喉頭を気管から分離し、喉頭を咽頭と連結させたまま気管を腹壁に導出する手術です。喉頭は発声機能を失い、永久気管孔による呼吸が必須となります。
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【試験対策ポイント】
嚥下手術の分類:永久気管孔の要否で整理
| 手術名 | 方針 | 喉頭温存 | 永久気管孔 |
|---|---|---|---|
| 喉頭挙上術 | 嚥下力向上 | あり | 不要 |
| 輪状咽頭筋切断術 | 通過改善 | あり | 不要 |
| 甲状軟骨形成術 | 音声改善 | あり | 不要 |
| 気管食道吻合術 | 喉頭廃絶+食道迂回 | なし | 必須 |
| 喉頭気管分離術 | 喉頭廃絶+気管外導 | なし | 必須 |
重要否定知識:
- 「気管切開術」単独では永久気管孔にならない(一時的な気管孔)
- 喉頭温存手術は全て嚥下機能を何らかの形で活かしており、永久気管孔不要
- d と e の違い:食道迂回(d)か気管外導(e)か