第15回 言語聴覚士国家試験 第89問
耳鼻咽喉科学第15回
小児の滲出性中耳炎について正しいのはどれか。
- 1.耳痛の訴えが強い。
- 2.しばしば鼓膜穿孔を生じる。
- 3.中耳インピーダンスが低下する。
- 4.小児の難聴の原因として最も多い。 ✓
- 5.耳小骨が溶けて伝音難聴を生じる。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 小児の難聴の原因として最も多い。
滲出性中耳炎は、急性中耳炎と異なり、中耳腔に滑液性の液体が貯留する疾患です。小児期では最も多い難聴原因であり、自然治癒率が高く、保存的経過観察が多いため、急性中耳炎のような激しい症状は呈しません。中耳液による音伝導の障害で伝音難聴を生じます。
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【各選択肢の解説】
1. 耳痛の訴えが強い。
❌ 誤り。滲出性中耳炎は通常、耳痛を伴いません。むしろ無症状か、耳閉塞感や難聴のみが自覚症状です。激しい耳痛は急性中耳炎の特徴です。
2. しばしば鼓膜穿孔を生じる。
❌ 誤り。滲出性中耳炎では鼓膜穿孔はほぼ生じません。逆に急性中耳炎では中耳内圧上昇により穿孔が起こります。滲出性中耳炎は圧上昇が緩徐で穿孔リスクは低い。
3. 中耳インピーダンスが低下する。
❌ 誤り。中耳液貯留により中耳のコンプライアンスが低下し、インピーダンスは「上昇」します。ティンパノメトリーはAs型(低コンプライアンス)を示します。
4. 小児の難聴の原因として最も多い。
✅ 正しい。滲出性中耳炎は小児の伝音難聴の最大原因であり、学業成績や言語発達への影響が懸念されるため、スクリーニングが重要です。通常は自然治癒しますが、3ヶ月以上続く場合は鼓膜チューブ挿入術の適応。
5. 耳小骨が溶けて伝音難聴を生じる。
❌ 誤り。滲出性中耳炎では耳小骨が溶解することはありません。伝音難聴の原因は「中耳液による音伝導の阻害」です。耳小骨溶解は慢性化膿性中耳炎の合併症です。
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【試験対策ポイント】
| 項目 | 急性中耳炎 | 滲出性中耳炎 |
|---|---|---|
| 症状 | 激しい耳痛・発熱 | 耳痛なし・難聴のみ |
| 鼓膜穿孔 | しばしば生じる | ほぼ生じない |
| コンプライアンス | 正常〜上昇 | 低下(As型) |
| インピーダンス | 正常〜低下 | 上昇 |
| 小児難聴の原因順位 | 2番目 | **最も多い** |
| 自然治癒 | 大多数 | 高率だが長期化例も多い |
| 液体成分 | 膿性 | 滑液性(clear) |
キーワード:「滲出性中耳炎=伝音難聴のNo.1原因」「耳痛なし」「自然治癒傾向」「3ヶ月持続で手術適応」