第15回 言語聴覚士国家試験 第90問
小児聴覚障害第15回
定型発達の1歳6ヶ月の聴性行動として適切でないのはどれか。
- 1.隣の部屋の音に耳を傾ける。
- 2.突然の大きな音に腕を突きだす。 ✓
- 3.テレビの音がするとサッと見る。
- 4.「おいで」と言うと近寄る。
- 5.ささやき声で名前を呼ぶと振り向く。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 突然の大きな音に腕を突きだす。
1歳6ヶ月の幼児における聴性行動は、音源の位置を意識し、言語理解に基づく行動が中心になります。「突然の大きな音に腕を突きだす」反応はMoro反射の一種で、これは新生児期(0〜3ヶ月)の原始反射であり、1歳6ヶ月時点では消失しているべき発達段階を過ぎた反応です。この時期の聴覚応答は、意図的な音探索や言語理解に基づくものへと発達しています。
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【各選択肢の解説】
1. 隣の部屋の音に耳を傾ける。
✅ 正しい。1歳6ヶ月では音源の方向に注意を向け、能動的に音を探索する行動が発達します。距離や部屋の隔てにかかわらず、音刺激に対する指向的な反応が見られます。
2. 突然の大きな音に腕を突きだす。
❌ 誤り。これはMoro反射(抱きつき反射)で、新生児から生後3ヶ月までに見られる原始反射です。1歳6ヶ月ではすでに消失し、このような無条件反射ではなく、音への意識的・目的的な応答が発達している時期です。
3. テレビの音がするとサッと見る。
✅ 正しい。1歳6ヶ月では音刺激に対する頭部および眼の方向反応が発達しており、音源への素早い定位反応が可能です。これは聴覚的注意の発達を示します。
4. 「おいで」と言うと近寄る。
✅ 正しい。1歳6ヶ月では言語の理解語彙が50語程度に増加し、簡単な指示を理解して行動する段階です。聴覚的理解に基づく行動反応の典型例です。
5. ささやき声で名前を呼ぶと振り向く。
✅ 正しい。1歳6ヶ月では自分の名前を理解し、低い音声刺激に対してもあきらかな聴覚応答が見られます。聴覚と語言理解の統合発達を示しており、検査的にも音声聴覚閾値の測定に用いられます。
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【試験対策ポイント】
原始反射と発達的行動の区別:
| 反応の種類 | 出現時期 | 消失時期 | 1歳6ヶ月での状態 |
|---|---|---|---|
| Moro反射(腕を突きだす) | 新生児 | 3ヶ月 | 消失済み |
| 音への定位反応 | 2〜4ヶ月 | 発達し続ける | 発達している |
| 音への注視反応 | 4〜6ヶ月 | 発達し続ける | 発達している |
| 言語理解 | 6ヶ月以降 | 発達し続ける | 50語程度 |
1歳6ヶ月の聴性行動の特徴:
- 親の指示を理解して行動する
- 自分の名前に反応する
- 音源の方向への指向性が発達
- ささやき声での検査が可能(聴覚検査の重要な手法)
- Moro反射などの原始反射は完全に消失
出題ポイント:「適切でないのはどれか」の問形で、発達に不適切な古い反応を選ばせる問題。小児聴覚検査では、月齢に応じた正常な聴性行動を理解することが必須です。